ベルリンでチェスボクシング開催

[ベルリン 1日 ロイター] チェスとボクシングをラウンドごと交互に行う「チェスボクシング」のヘビー級欧州選手権が1日、当地で行われた。

ブルガリアハンガリー、英国、地元ドイツの選手らが文字通り、知力と体力を競い合った。

チェスボクシングは昨年4月に東京で開催されたことから日本でも知られるようになりました。その様子は私の作成したチェスボクシングリンク集からご覧になれます。

オランダ人アーティスト イップ がつくりだしたチェスボクシングとは、最も精神力の鍛錬が必要とされるチェスと高度な格闘技であるボクシングを合わせた新しいプロジェクトである。リング上でイップと対戦者がチェスとボクシングを交互に対戦してゆき、どちらかの競技で勝敗が決まれば試合終了。チェックメイト、持ち時間の時間切れ、またはノックアウトで勝負が決まる。

正式なルールは以下のPDFファイルに記載されています。(長いので私は読んでいません)

この競技は、発案者であるイップはアートであると自称しています。しかし、あまりにも本気すぎて競技として成立してしまっているために、一見したところはそのようには思われないわけですね。そこまで含めてアートなのでしょう。たぶん。

片上大輔四段がバックギャモン日本代表に

毎年、日本とデンマークの代表選手が日本バックギャモン協会主催のBackgammon Festival内にて親善公開試合を開催。 その日本代表選手を選ぶための選考トーナメントが2005年9月に行われ、片上大輔四段(24歳)が日本代表に選ばれました。

片上大輔四段がBackgammon Festivalデンマーク一位の選手と対戦することに決まったそうです。

片上四段は今年5月に行われた第12回王位戦で優勝しています。

詰将棋パラダイス半期賞

詰将棋パラダイス10月号で2005年上半期半期賞が発表されました。各部門の受賞者は以下の通りです(敬称略)。

  • 小学校(3手〜7手):藤井孝太郎
  • 中学校(9手〜11手):松﨑準昭
  • 高等学校(13手〜17手):中村雅哉
  • 短期大学(19手〜29手):宮浦忍
  • 大学(31手〜49手):井上徹也、橋本孝治
  • 大学院(51手以上):谷川浩司

玉将と王将

ここで書かれているように言われることが多いのですが、実際には結論の出ていない問題だと思います。筆者の方も玉と王はどちらが「正しい」のか?@将棋パイナップルにきちんとリンクしていますね。

女流棋士の待遇を考える

今度は中井広恵女流六段以外の女流棋士のコメントが掲載されました。清水市代女流三冠の「精神的にも、立場的にも、ご自身の意志が覆い尽くされてしまうような、複雑な状況になってしまっている感がありますが」とか、蛸島彰子女流五段の「中井さんが「何故女流なのか」「何故私なのか」とすっきり澄んだ気持で対局できないという心境になるのもよく理解できます」といったように、中井女流六段の立場に配慮したコメントが目立ちました。

今回の中井女流六段や他の女流棋士のコメントでも、女流棋士の立場・待遇を向上させたいという思いが見られました。しかし、第三者の目から見ると、現在の女流棋士の待遇がどの程度のものなのかほとんど公開されていないこともあって、どうすればよいのかはわかりにくいのが実情です。

どこで聞いた話だか忘れてしまったのですが、女流タイトルの四冠を独占してもやっと1000万円をこえるくらいだと聞いたことがあります(囲碁の女流タイトルの優勝賞金は500万円前後なので、違うのかもしれません)。そうだとすると、男性棋士のトップと比べて10分の1程度ですね。

男性棋士の年間獲得対局料の中間値はだいたい500万円から600万円くらいではないかと思います。女流棋士の中間はその10分の1程度なのでしょうか。だとすると、厳しいなあと感じます。

ゴルフやテニスでは、並の男性選手をはるかに上回る賞金を稼ぐ女性選手も珍しくありません。特にここ数年の日本のゴルフ界では、女性の方が男性よりも賞金額が大きくなるという現象が起きています。このように、女性の方が実力が劣るからといって、それがすぐに収入の小ささに結びつくとは言えません。将棋界でも、実力が同程度であれば女流棋士の将棋は男性棋士の将棋よりも多くの人に見られるのではないでしょうか。だとすれば、女流棋士の実力が劣るからというだけでこれほどの収入格差がつくことは誤りという結論になります。

ただ、清水女流三冠の言うように「『女流棋士』が、何らかの形で、必要最低限の保障を頂けること」は難しいだろうと思います。ゴルフでもテニスでも負け続ければ収入はなくなりますし、競技としてはそれが本来の姿でしょう。現在の女流棋士の世界では対局で生活が保障されるようになるためのハードルが高すぎるという点には同感ですが、ハードルをなくしてしまうのは良くないと思います。

とはいえ、「将棋ビジネス」考察ノート:覚悟!に書かれているとおり、実現は容易ではないでしょう。女流棋戦のスポンサーが対局料を増額することが最も直接的な解決策ですが、女流棋士にそこまでの魅力がないならば実現できません。それは将棋そのものの魅力が薄れているということをも意味するのかもしれませんね。

女流棋士と男性棋士の待遇面での格差は縮小していくべきだと考えます。しかし、悲観的に考えるならば、それは女流棋士の待遇改善ではなく、男性棋士の待遇悪化によってもたらされるのかもしれない。そんなことを考えました。

「その日」に向けて

なんのことかと思ったら昨日、戸辺と将棋ソフトのボナンザとやらが対戦して戸辺が3局目で負けたらしいんです。本人は「油断して一発食ったんですよーー」と言い訳していましたが、負けは負け。

そんなバカなと思ったのですが見ているとこれが意外に強いので驚き。既にプロ棋士が数名平手で餌食になったとか奨励会有段者もコロコロ負けているらしいんです

対局を終えた某棋士が対戦。「いつか負けるとは思ったけどこんなに早くコンピューターに負ける日が来るとは・・・」と言っていました。見た感じでは出来不出来がかなり激しいのですが、安定して力を出すようになったら・・・。

現在の将棋ソフトの実力なら何度も対戦していれば1度は勝てる。自宅で指して負けた経験のあるプロ棋士もいるはずだとは言われていましたけれども、それが明らかになったのは初めてではないでしょうか。

プロ棋士が将棋ソフトに負ける棋譜が公開されるのはもはや時間の問題となっています。将棋ソフト TACOS が橋本崇載五段に平手で善戦で指摘したとおり、どうしたら「コンピュータが人間に勝った」ことにするのかを早急に議論しておく必要があります。

将棋ソフトは人間の作ったものであり、本来ならば人間対コンピュータという対決図式で見るのは誤りでしょう。内藤国雄九段が『コンピュ−タと勝負する』で書いたように、コンピュータはコンピュータにすぎません。

しかし、機械はどんなに優れても機械であって、人間が主人。

将来、指し将棋で人間を負かすようになってもこのことは変わらない。本当に畏敬すべきなのはそういうものが作れる人間の頭脳である。こんなふうに考えるのが本当ではなかろうか。

そして、プロ棋士を凌駕する実力を持つソフトが開発されれば、それを活用して人間は将棋というものをさらに深く理解できるようになります。これまでの対局で優劣不明とされていた局面でも新たな最善手が発見されることもあるでしょうし、序盤の定跡手順で従来なかった構想を支える変化を読み切るのに利用されたりもするでしょう。先崎学八段が『やりなおしの将棋』の中で(プロに勝つような)「そういうソフトが出てきたら、将棋は今よりもさらに人々に愛されるようになるのではないでしょうか。」と書いているのも、その意味では正しいと思います。

ただ、上で書いたようなことに理解のある人ばかりならいいのですが、現実にはそうでもありません。コンピュータがプロより強くなれば、将棋を指す人がそうでない人に「でも、将棋ってコンピュータが勝っちゃったんだろ?」と言われるだろうことは目に見えています。そうなったときにどう説明するのか。今のうちからしっかりと理論武装しておかないと後々困ったことになるのではないかと思います。

そして、その現実はすでに進行しつつあるわけです。今なら、まだコンピュータはプロに勝っていないと言い切れます。誰も見てないところでちょこっと指しただけだから本気じゃなかったんだよ、と。しかし、これが先日の橋本崇載五段が苦戦したときのように公開の場の対局なら反論は難しくなってきます。あれは公式戦じゃないからとか、もっと強い棋士がいるからとか、持ち時間が短いからとか、いろいろ言えるわけですがだんだん言い訳じみてきますからね。

ですから、どうせいつか負けるのであれば言い訳できない形で負けた方が良い。それがどんな形式なのかを、まだプロが強いと言える今のうちに決めておいた方がいいだろうということです。具体的には、誰が対戦相手になるのか、対局形式をどうするかといったところでしょうか。

対戦相手をどうするかですが、これは将棋界で一番強い人ということになるでしょう。1997年に行われたチェスの対局では、当時世界最強だったカスパロフが対戦相手となりました。将棋でもそれと同程度の棋士を対戦相手にするべきでしょう。具体的には、名人か竜王か、あるいは羽生か。誰にしても歴史的な対局となることは間違いありません。

トップの棋士を対戦相手にできれば、おそらく普通のタイトル戦とは比較にならないくらいの注目が集まるでしょう。スポンサーもつくでしょうし、NHKで生中継ということもあるかもしれません。もちろん、賞金もタイトル戦並みかそれ以上になるでしょう。それだけの舞台が整えば、非公式戦であっても出場する棋士はそれに応えられるくらいの準備をしてくれるはずです。

ここで問題となってくるのは、トップレベルの棋士は多くの対局を抱えていて非常に忙しいということです。せっかくの対局ですから、悔いなく指せるだけのコンディションを整える環境が求められます。そのためにはそれ相応の準備期間が必要です。タイトル戦などで連戦が続くと疲労が蓄積して本来の実力を出し切れなくなるという話はよく耳にしますが、そうならないようにしなければなりません。そのためには、他の対局の日程を強引にずらしてでもまとまった期間を空けなければならなくなるのではないかと思います。

対局形式は、コンピュータ将棋の目標としてよく言われるのが「名人に勝つ」ということからすると、名人戦の「持ち時間9時間の七番勝負」が妥当かもしれません。しかし、テレビ中継があればその都合に合わせてもいいのではないかと思います。

長々と書いてきましたが、必要なのは今のうちに「その日」に備えておくことです。それは確実に近づいてきており、決して遠ざかることはありません。

将棋倒し

「将棋倒し」ということばは、日本将棋連盟の要請に基づいてマスコミでは使わないことになっているらしいのですが、国際記事を中心に現在も時折見受けられます。

ロイターや朝鮮日報の記事が「将棋倒し」という言葉を見出しに掲げていることからもわかるように、この事故を「将棋倒し」と表現するのは適切と言えます。