初形が普通と違うチェス

ボビー・フィッシャーが考案したという変則チェスの記事。初形でポーン以外の駒がランダムに入れ替わるのだそうです(ただし白と黒は同じ配置)。

チェス960のルールは従来のチェスとほとんど同じだが、駒の配置に、かつてチェスにとっては忌むべきものと思われていた「偶然」という要素が取り込まれている。ポーン[将棋の歩兵に相当]が前列に並ぶのは普通どおりだが、その後列の白の駒はランダムに配置される。ただし2個のビショップ[同角行に相当]は、それぞれ白マスと黒マスに配置されなければならず、キング[同王将に相当]は2個のルーク[同香車に相当]の間に配置されなければならない。黒の駒は向かいあった白の駒と対称をなすように並べられる。

これにより開始時の駒の配置パターンは1通りではなく960通りになる。チェス960のポイントは、チェスを暗記という束縛から開放することにある。

定跡通りに指すだけの将棋が「コピー将棋」と批判されることがよくありますが、初形を変えてしまえば知識では指せなくなるということですね。

そして、知識だけでは指せないという要素は、チェスコンピュータにとってもやりがいのある課題を提供しているそうです。

一方『チェス960』は、チェスプログラマーを強く惹きつけている。はるか先の手まで計算できる従来のチェスプログラムでも、つまりはオープニング本のデジタル版──200万通り以上のポジションに対する正しい駒の進め方をまとめた表のようなもの――に頼っているのが実情だ。それに対してチェス960はランダムなため、それぞれの手に対して独自の分析が必要になる。

『第1回チェス960コンピューター世界選手権』には、主催者のフォーゲルゲザング氏によると、オランダ、ギリシャ、英国、フランス、ドイツ、そして米国からも挑戦者が出場するという。1位の賞金は1000ユーロ(1200ドル)だ。

このように優秀性を認められた「チェス960」ですが、その発案者がボビー・フィッシャーであるという事実については複雑なものがあるようですが、元世界チャンピオンのアナトリー・カルポフがこのチェス960でフィッシャーと対戦したいと語ったことでまた新たな展開が見られるかもしれません。

チェス960の評価は徐々に高まりつつあるが、有名プレイヤーが提案した変形チェスはこれが初めてではないし、これがオーソドックスなチェスに取って代わることはなさそうだ。ところが思わぬところから後押しを得ている。

30年前にフィッシャー氏にフラれた元世界チャンピオンのアナトリー・カルポフ氏が先月、対戦しそこなった相手にこのゲームで挑戦することを公にしたのだ。

個人的に、将棋でも初形を少し変えてみたときにどのような戦術の変化が生じるかを考えることは面白い課題だと感じています。この記事を読んで関心を持った方は、手始めに初期配置で金と銀を入れ替えてみたらどのようになるか考えてみてはいかがでしょうか。美濃囲いは使いにくくなりますし、矢倉は銀矢倉の方が組みやすくなります。全く新しい戦形も出てくるかもしれませんね。

8月4日追記:リンク先の記事については不正確なところもあるようです。下のmaro_chroniconのコメントを参照下さい。

それから、http://yowaken.dip.jp/tdiary/20050802.html#p03経由で第1回 日本初のJ-Chess決戦「タクリン対ハタル」をメモ。