NHKの正月特番

正月に放送されたNHKの特番を見ました。思ったよりも面白くできていました。

萩本欽一今岡誠

1月1日に放送された「欽ちゃん・今岡指し初めだよプレーボール」を見ました。阪神ファンとか普段将棋番組を見ない人の間でも意外と話題になっていたようです。

1局目は▲萩本欽一森内俊之名人対△今岡誠谷川浩司九段のペア将棋。▲7六歩(萩本) △3四歩(今岡) ▲6六歩(森内) △8四歩(谷川) ▲6六歩(萩本)という出だしから相矢倉戦となり、後手が先攻しましたが先手の端からの反撃が厳しくそのまま先手が勝ちきりました。

プロアマペア将棋は「アマ→アマ→プロ→プロ」という順で指すことになるので、アマのあとにアマが指すかプロが指すかで微妙な綾が出ますね。今回は森内名人が難しいところが自分の手番に回ってくるようにうまく調整していたような感じがしました。

今岡は矢倉の定跡を知らなかったようで、序盤の早い段階で両方の端を突いていたあたりに不慣れさがうかがえました。7五にいた銀を△6四銀と引いたのは実質的な敗着でした。それに対し、この将棋では萩本欽一の安定感が目立ちました。最善ではないとしても次善は指して来るという印象で、ペア将棋ではやりやすいタイプだったと思います。24で指していても不思議ではない感じで、普通に強かったのが意外でした。

2局目は▲今岡誠対△谷川浩司九段の二枚落ち戦。いきなり2筋の歩交換をして右銀を5六に繰り出す戦法でした。私は駒落ち戦法をよく知らないのですが、ある戦法なのでしょうか。組み上がってみると下手の模様が良くなっていました。そこから馬を作って好調だった下手でしたが、上手の玉頭からの反撃を受け誤ってピンチに。たぶんそのあたりで上手に勝ちがあったと思うのですが、そうすると見どころがなくなるので谷川九段が見送ったように思えました。最後は下手にとって難しい寄せでしたが、相談タイムをうまく使って勝ちきり。有名人基準で二段免状というのはたしかにそんなものかというところでした。

全体としてみると欽ちゃんが将棋番組らしからぬテンションでずっと盛り上げていてさすがの貫禄でした。

大逆転将棋2006

1月3日に放送された恒例の企画。ゲストは以前出演した芸能人ばかり。プロ棋士からは昨年知名度の上がった橋本崇載五段と瀬川晶司四段が初登場。

投了図対局第1局

谷川浩司九段に錦織健が挑戦。谷川九段はコンサート会場に花を贈ったりするそうです。

指定された局面は棋王戦▲羽生△谷川の棋王戦(何年の対局か聞き逃しました)。相矢倉戦の終盤で、先手の模様が厚く後手の切れ筋がはっきりした局面が投了図。ここから谷川九段が負けた自分の側を持って指す。プロは10秒将棋、アマは持ち時間10分に秒読み30秒。

後手は上部に逃げ出そうと粘るが、先手は垂れ歩から急所にと金を作って攻め合い勝ちの体勢。しかし、そこで▲2四歩のたたきが「筋が良すぎる」疑問手で詰めろが続かずに逆転となりました。

脳内将棋対局

盤駒を使わずに符号を言うだけで対局する恒例企画。今回は佐藤康光棋聖橋本崇載五段が挑戦。先手の橋本五段は初手▲1六歩の奇襲作戦。しかし△3四歩 ▲7六歩では普通でしたが。先手四間飛車に後手は3一銀3二金4二金4三銀という変則の囲い。そこから、NHK杯戦で最近深浦八段が見せた強引な攻めで後手が仕掛ける。どこで差が付いたのかわからなかったのですが、最後は後手が見事に詰まして終わりました。

反則特集

前回の特集で反響が大きかったそうです。プロ棋士による反則の一覧だそうです。3回未満の反則を知りたいですね。

  1. 二歩(44回)(松尾:3一に歩がいるのに△3六歩)
  2. 二手指し(22回)(神吉:△4九飛→居眠り→△3三桂)
  3. 王手放置、または自らに王手をかける(8回)(関:7五に先手の桂がいるのに△8七玉)
  4. 角(馬)の利きを間違える(5回)(木村義徳:2五から△4八馬)
  5. 成れない駒を成る(3回)(沼:△6六歩成)
もしも将棋 Part1

プロは取った駒が使えない(ただしプロが王手をかけたらそれ以降は持駒が使える)。瀬川晶司四段に矢崎滋が挑戦。先手が矢崎。

振り飛車穴熊に囲った先手に対し、後手は1筋の雀刺しで露骨に穴熊崩しの布陣。そこから後手は飛角桂香で後手玉頭に殺到して△1七飛成を実現。あっさり王手がかかる。飛角と銀香の交換なので普通の将棋だと思えば優勢とはいえ、ハンデを失ってはプロの勝ちは避けられませんでした。

この将棋、アマから速攻棒銀に出られたらどうやって受けるんでしょうか。

はさみ将棋対決

前回内藤九段に勝った米長邦雄永世棋聖谷川浩司九段が挑戦。「先に3枚とった方が勝ち」「どちらも最初の3手(6手)は相手側の二段目まで進めること」というルール。「はさみ将棋は実は奥が深い」(谷川九段)

じゃんけんで先後を決める。谷川九段が勝って先手。▲5二歩△9八と▲1二歩上△8八と上▲2二歩上△7八と上▲5七歩△8七とという進行。8手目が新手。途中先手が勝てそうな局面がありましたが、失敗があり後手が盛り返す。結局2枚ずつ取り合ったところで膠着状態となり、引き分けということで米長「はさみ将棋名人」の防衛となりました。

ああなってしまうと引き分けが避けられなくなるのがはさみ将棋のつまらないところ。はさみ将棋はきわめて引き分けになりやすい変則将棋です。うまいルールを設定して引き分け率を減らせればいいのですが。

もしも将棋 Part2

プロは駒が成れない。清水市代女流三冠につるの剛士が挑戦。

先手四間飛車に後手は四枚銀冠。持久戦ならではの細かい手順で差を広げられて勝負所なく決着。プロ側の桂香の価値が著しく落ちることを生かして桂香交換が起きる展開にしなければならないのですが、そう考えると対抗形よりも相居飛車にして端攻めをできる展開が望ましかったですね。最終的には自玉上部を開拓して入玉できれば駒数で負けていても勝ちにできます。ただ、プロ相手にそれができるなら相当強いですが。

投了図対局第2局

森内俊之名人にジェームス三木が挑戦。「自信の程は?」「あっ、こんにちは」に笑いました。

2003年の名人戦森内-羽生。横歩取り8五飛からの将棋。先手玉が安全で切れずに攻めが続けば勝ち。しかし、初手から清水女流三冠に待ったをかけられる。後手が攻め合いに来たので後手玉に詰み筋が生じるがそこでも清水女流三冠が見事な待ったから丁寧なアドバイス。しかし、角捨ての妙手を発見できずに結局勝てませんでした。