テレビゲームに影響を与える詰将棋

--さきほどからも話に出てますけども、将棋とかチェスのような、戦略ゲームがやはりお好きなんでしょうか?

そうですね。上手くはないし、趣味で毎日やってますというのでもないんですけど、好きですね。最近も『月刊将棋世界』という雑誌を買ったんですけど、それに『驚異の1525手! 詰将棋最長手数 ミクロコスモスの世界』という付録がついてて……(と、鞄から小冊子を取り出す)。

--それは何ですか!?

詰め将棋の解説なんですけど、日本で一番長い詰め将棋。詰み上がるまでに1525手もかかるんです(笑)。あと、詰め将棋の歴史が書いてあるんですけど、すごいのはいろんな人が詰め将棋の技法を開発してるんですよ。"と金送り"とか"持駒変換"とか、全然意味がわからないんですけど、その技法同士が組み合わさって、新しい技法になったりする。将棋って、ルールはたったひとつなのに、これだけすごい世界が広がってる。そういうのが好きだし、憧れるんですよ。

--憧れるし、作ってみたいとも思わされる。

そうですね。『KING OF WANDS』を作ってみて思ったんですけども、最終的に自分の作ってみたいゲームって、将棋とかチェスみたいなものなんです。でも、将棋やチェスは、ルールを覚えるのがちょっとしんどい。それを覚えなくていい、将棋みたいなものができたらいいなあ、と。5行ぐらいのルールがボンと提示されていて、あとはやってるうちにどんどん作戦やルールがわかってくる……みたいなゲームができれば、もう死んでもいい、くらいの気がしますね。

あの付録もいろんなところに影響を与えているのですね。言われてみるとたしかにぷよぷよは将棋のようなゲームに通じるところがあるような気がします。

ただ、ルールが短い方がいいかというと必ずしもそうではないのではないかと思います。よくサッカーはルールが短くてシンプルな競技だと言われます。それに比べて野球のルールは非常に複雑です。しかしだからといって野球がつまらないということはなくて、どちらも面白い。サッカーの方が面白いという人も、その理由はルールブックの厚さではなく別のところにあるのではないでしょうか。

では、ゲームの面白さはどこから来るのかというと……それがわかれば誰も苦労しないですね。