駒の向きが変わる

駒音掲示板でdaiさんによる次のような書き込みがありました。(書き込み番号 [3351])*1

以前、チェスで実際の対局に現れた一手で、「ポーンは、8段目の升目に到着したとき、ポーンとキングを除く任意の駒に成ることができる」というルールが改正されたそうですね。

白の配置:a5キング、b7ポーン、c7ルック

黒の配置:a7キング、a8ルック(この話に無関係の駒は省略)

黒のポーン(b7)がb8に進み、「黒の」ナイトに成ってチェックメイト。 すなわち改正後は、「ポーンは、8段目の升目に到着したとき、ポーンとキングを除く同じ色の任意の駒に成ることができる」。以上、三浦俊彦著「論理サバイバル」二見書房刊より。

さて、質問です。現在の将棋連盟の公式ルールでは、上のような着手について明確に規定されているのでしょうか。著者の三浦氏も、知りたいと書かれています。

つまり、「駒が成るときに相手の駒に変身する」ということを禁止する条項があるかどうかということですね。実際、角交換で▲2二角成とするときに2二にあった相手の角をひっくり返して自分の馬にするというような行為はときどき見かけるので、単に「駒が成るとは駒を裏返すことである」としか決まっていないと、「相手の駒に成る」のも可能だと主張できる余地が残るかもしれません。

ただ、将棋のルールは、チェスやその他のスポーツのように全てをきっちりと明文化しておくのではなく、大まかに決めておいて細かな部分は現場の運用にゆだねるという色合いの濃いものになっています。そのため、現実的には「そんな手はできません」と言われて終わるだけのような気がしますし、ましてこれを解決するためにルール改正が行われることもあり得ないでしょうけれども、それを承知の上で考えてみるのも面白いと思います。

日本将棋連盟の公式ルールというのは「対局規定」のことですが、これは現在のところ部分的にしか公開されていません。(対局規定(抄録))そこで、将棋のルールについて議論する際には、将棋世界1993年1月号の「'93年版 将棋ルールブック」(堀口弘治六段著)を参照するのが定跡です。このルールブックの文章は対局規定のそれとは異なりますが、表紙にも「日本将棋連盟公認」と書いてありますし、公的なルールブックとして一応認められるものだと思います。

そこで、「'93年版 将棋ルールブック」ではどう書いてあるかというと……、おかしい、どこにしまったかわからなくなりました(^^;。つい最近どこかで見たんだけどなあ。部屋の整理が悪いとこういうときに苦労します。

それはともかく、駒の向きを変えることができる変則将棋というのも面白いかもしれません。変則将棋というよりもフェアリー詰将棋ですかね。まあ、何も考えずに書いているわけですけど。

*1:8月14日追記:daiさんが書き込み番号[3359]で訂正したため、引用部分もあわせて訂正しました。