ニコニコ動画上での削除の件は結局どうなったのだろう

の続きです。1年以上間があいてしまいました。情勢を追いかけたいない期間が長かったため、いろいろ見落としている可能性があると思いますので、ご存じの方はコメントでご教示いただけましたら有り難いです。

その後の削除状況

上記の件ですが、その後、棋譜著作権を理由にした削除は確認できなくなりました(ただし、棋譜著作権を理由に削除された動画は削除されたままになっています)。そのかわり、肖像権を理由にした削除は、数は多くないように見えるものの、何件か見られました。

2012年2月までの削除は名人戦順位戦王位戦がほとんどでしたが、それ以降は棋戦に限定が見られないのが特徴です。しかし、これも2012年6月以降に投稿された動画では削除されているのが見つかりませんでした。(ご存じの方がいらしたら教えていただけると助かります)

2ちゃんねるの反応、日本将棋連盟の対応

さて、2月終わりのこの件は2ちゃんねるでも話題を呼び、一般的な話題を扱うまとめブログでもこの件が取り上げられ、例えば下記のようなところから、このページにも多くのアクセスがありました。関心の高さがうかがわれます。

また、この件について日本将棋連盟に問い合わせた人が何名か2ちゃんねるに書き込みをしていました。

それによると、次のような返答だったそうです。

819 :565:2012/02/27(月) 20:00:20.66 ID:jYtOaMhl

>>565で問い合わせメールを日本将棋連盟に送った者です。
返信がきたのでご報告いたします。

要旨としては、

ニコ動で削除された動画は棋戦名や棋士名が記載されており、
動画の内容が著作権に違反している疑いがあるため
ドワンゴ社と将棋連盟で協議し、該当動画を一旦削除した。
ニコ動へのプロ公式戦に関する再生動画の公開は控えていただきたい。

というものでした。

問い合わせ内容は>>539をちょっと丁寧に書きなおしたものです。
ご参考まで。

539 :名無し名人 2012/02/26(日) 06:30:14.56 ID:Yu33Svkx

将棋の棋譜再生動画を作ってインターネットの動画サイトにて公開したいと考えております。
日本将棋連盟が将棋の棋譜著作権を持っているとの事ですが、将棋の棋譜再生動画の作成および公開を許可していただくにはどのような手続きが必要でしょうか。
また棋譜の使用料が発生する場合、誰にどのように金額はどの程度お支払いすればよろしいでしょうか。

ほかにも同様の返答を受けた人が複数名いたようです。その後、棋譜著作権を理由にした削除がなくなったとすれば、日本将棋連盟棋譜の著作物性を主張する立場とは言えないのかもしれません。

上記でリンクしたページでは、このコメントからいろいろ憶測が書かれていますが、私はコメントが正しいとしても、それだけを理由に日本将棋連盟の考えを推し量るのは難しいと考えます。パブリシティ権という言葉も出ていますが、私はそれも眉唾と思っています。

そして、その後、日本将棋連盟ニコニコ動画からこの件についての公式な発表は、私が見ていた範囲ではありませんでした。

また、窪田義行六段からこのページにコメントをいただいていました(この記事を書くにあたって調べるまで見落としており、お返事をできておらず誠に申し訳ありませんでした)。窪田六段によると、

具体的な規約整備に関しては、各種法規に関して門外漢ですので正直手に余ります。
棋士(正会員)に対してさえ、会報を始めとする公式文書で周知されていないと記憶しておりますので、公務に纏わる諸権利の管理及び運用を将棋連盟(及び契約相手たるスポンサー)に委託している立場としては、遺憾でなりませんが。

とのことで(窪田六段の追加コメントに基づき、コメントを修正した上で引用してあります。)、日本将棋連盟所属のプロ棋士でも著作権などの権利関係は難題のようです。「諸権利の管理及び運用を委託している」というのは、明示的な契約があっての話なのか、単に慣習的なものなのかは気になるところです。

いずれにしても、前回紹介した西尾明六段のツイートもあわせて、昨年の削除が日本将棋連盟内部で意志統一された中で行われたわけではなかったことは、はっきりしたと言えるでしょう。

一般の記事

そのほかにも、この件は普段将棋とは無関係な一般のメディアでも取り上げられました。

また、様々な人がこの件に関してTwitterでツイートをしました。下記にまとめられています。