通算勝率と活躍度

ある棋士の日常の9月12日分で神崎健二七段「あまり自慢できない記録」という文章を書いています。

竜王戦のいろんな資料をまとめられているかたから、竜王戦の予選累計対局数がトップ争いをするほど多いと教えていただいたのだが、それは、なかなか3組に昇級できそうでできないということの裏返し。(3組より上の組は人数が少ないので昇降級までの局数も少ない)

神崎七段は意外に勝っているのですが、なかなかそれがファンの目に見える場所まで来ないのが残念です。本当はもっと活躍が目立ってもいい棋士だと思うのですけれども。

棋士通算成績一覧(9月9日現在)によれば、神崎七段の通算勝率は0.6077です。順位戦C級1組の棋士について同じように通算勝率を調べ、高い順に並べると次のようになります。神崎七段は7位となっていますね。

  1. 0.6756 : 渡辺明五段
  2. 0.6543 : 屋敷伸之八段
  3. 0.6497 : 松尾歩五段
  4. 0.6434 : 中田宏樹七段
  5. 0.6254 : 野月浩貴五段
  6. 0.6081 : 北島忠雄五段
  7. 0.6077 : 神崎健二七段
  8. 0.5909 : 小林裕士五段
  9. 0.5877 : 日浦市郎七段
  10. 0.5829 : 真田圭一六段
  11. 0.5813 : 豊川孝弘六段
  12. 0.5812 : 飯塚祐紀六段
  13. 0.5811 : 小倉久史六段
  14. 0.5775 : 中座真五段
  15. 0.5731 : 長沼洋六段
  16. 0.5694 : 岡崎洋五段
  17. 0.5466 : 有森浩三七段
  18. 0.5459 : 大内延介九段
  19. 0.5366 : 有吉道夫九段
  20. 0.5349 : 中田功六段
  21. 0.5333 : 淡路仁茂九段
  22. 0.5203 : 西村一義九段
  23. 0.5205 : 勝又清和五段
  24. 0.5104 : 小林健二九段
  25. 0.5103 : 石川陽生六段
  26. 0.5090 : 真部一男八段
  27. 0.5064 : 窪田義行五段
  28. 0.5017 : 田中魁秀九段
  29. 0.4928 : 小林宏六段
  30. 0.4860 : 室岡克彦七段
  31. 0.4671 : 東和男七段
  32. 0.4601 : 児玉孝一七段

同様にB級2組の通算勝率もまとめてみました。勝率6割を越えているのは6名だけです。

  1. 0.7228 : 木村一基七段
  2. 0.6796 : 行方尚史六段
  3. 0.6677 : 堀口一史座六段
  4. 0.6129 : 杉本昌隆六段
  5. 0.6019 : 畠山鎮六段
  6. 0.6008 : 佐藤秀司六段
  7. 0.5884 : 南芳一九段
  8. 0.5862 : 畠山成幸六段
  9. 0.5751 : 塚田泰明九段
  10. 0.5669 : 内藤國雄九段
  11. 0.5655 : 富岡英作八段
  12. 0.5586 : 桐山清澄九段
  13. 0.5518 : 小野修一八段
  14. 0.5485 : 泉正樹七段
  15. 0.5452 : 脇謙二八段
  16. 0.5397 : 浦野真彦七段
  17. 0.5352 : 土佐浩司七段
  18. 0.5346 : 森けい二九段
  19. 0.5236 : 西川慶二七段
  20. 0.5203 : 福崎文吾八段
  21. 0.5095 : 石田和雄九段
  22. 0.4686 : 田丸昇八段

このように勝率6割というのはかなり高い水準なのですね。もう中堅といってよい年齢の神崎七段がこのレベルを維持しているのは、あまり知られていません。現在の順位戦のシステムは、上下の移動を少なくすることで、落ち目のベテランを生きながらえさせる役割を果たしていますが、屋敷伸之八段と同様に神崎七段もそのシステムの犠牲になっていると言えるでしょう。青野照市九段は、以前順位戦のクラスと通算勝率は相関があるという説を提唱しましたが、勝率5割5分を切りながらA級にとどまっている自身を含めて、例外はいろいろあるようです。

逆に言えば、神崎七段はこれから上位に上っていくポテンシャルは十分にあるわけで、ぜひがんばってほしいと思います。