女流育成会がクラス割りを廃止

ある棋士の日常9月26日付経由で、平成15年度後期・女流育成会

これまでAクラスとBクラスに分かれていた女流育成会が平成15年後期女流育成会より統合することになり、それにともなって規定が変更になります。リーグ優勝すると昇級点が1個つき、二個で女流プロ2級となります。

今までの「Bクラス優勝→Aクラス優勝→女流棋士に」という流れから、「昇級点獲得→リーグ戦優勝→女流棋士に」と変わります。規定が少しややこしいのでわかりにくいですが、優勝経験のない人が一位になった場合誰も女流棋士になれないことになっています。その意味では、女流棋士への障害が増えて、より狭き門になったと言えますね。

ちょっと問題になりそうな例として、こんなシナリオが考えられます。

すでに昇級点を獲得して順位が上位のAさんと、順位が下位で昇級点を獲得していないBさんがいるとしましょう。優勝争いがこの二人に完全に絞られ、最終戦を前にしてAが8勝1敗、Bが9戦全勝という展開になったとき、最終戦の勝敗によって2つの結果がありえます。

  1. A勝ち、B負けのとき、Aが昇級。Bは昇級点獲得。次期は、Aは女流棋士、Bは順位1位で戦う。
  2. それ以外のとき、Bが昇級点獲得。次期は、Bが順位1位で、Aが2位で戦う。

こうしてみるとAにとって前者が好ましいのはもちろんですが、Aが昇級して消えてくれた方がBも昇級しやすくなるので、Bにとっても前者が好ましいと言えます。したがって、Bは最終戦を負けた方が得です。しかも、最終戦がAとBの直接対決ならば、Bがわざと負けてもリーグ内の誰にも迷惑がかかりません。

他のリーグ戦では負けても損にならないという状況はまれに生じますが、負けた方がはっきり得ということは起こりません。上のような状況が起こる可能性は低くないので、実際にそうなったときにどんな反応が起きるか心配です。対局に勝つと損をするルールは好ましくないでしょう。私は、単純に「上位2名が昇級点を獲得」とする方が優れていると思います。