順位戦展望
今期の順位戦も半分以上の対局結果が出ています。そこで、将棋順位戦データベースを見ながら、情勢をまとめてみます。
A級順位戦(名人挑戦1名、降級2名)
現在5回戦が終了し、次のような星勘定となっています。
- 5勝0敗 森内俊之九段(前年度順位1位)
- 3勝2敗 佐藤康光棋聖(2位)
- 3勝2敗 谷川浩司王位(4位)
- 3勝2敗 三浦弘行八段(7位)
- 3勝2敗 久保利明八段(9位)
- 3勝2敗 鈴木大介八段(10位)
- 2勝3敗 丸山忠久棋王(5位)
- 1勝4敗 藤井猛九段(3位)
- 1勝4敗 青野照市九段(6位)
- 1勝4敗 島朗八段(8位)
挑戦権争いは、森内九段が今日の勝利で独走態勢に入りました。このまま逃げ切れるでしょうか。
一方、降級争いの方は開幕4連敗していた青野九段・島八段の2人が5回戦で貴重な1勝を挙げ、混戦模様になりつつあります。いまだ1勝の藤井九段はもちろん、2勝の丸山棋王も危険な位置にいます。
B級1組順位戦(昇級2名、降級2名)
13回戦のうち8回戦まで終了しています。(このリーグだけは人数が奇数のため空き番があります。)昇級争いは次のようになっています。
- 7勝1敗 深浦康市七段(朝日)(4位)
- 6勝2敗 北浜健介七段(13位)
- 5勝2敗 先崎学八段(5位)
- 5勝2敗 阿部隆七段(9位)
- 5勝2敗 高橋道雄九段(11位)
- 5勝3敗 森下卓八段(2位)
- 4勝3敗 郷田昌隆九段(1位)
開幕から7連勝と独走してた深浦康市七段に初めて土が付きましたが、それでも単独トップは変わりません。昇級確率は非常に高いと言えるでしょう。対照的に、二番手争いは激戦です。誰が来そうか全く予想が付きませんが、個人的には阿部七段が上がりそうな気がします。
降級争いは次のような感じ。(下からの順位)
加藤九段が落ちると寂しいですが、厳しい状況です。そのほかの棋士も怖いところですね。最終戦の▲中村八段△神谷七段戦は大きな勝負になるかもしれません。
B級2組順位戦(昇級2名、降級点4名)
10回戦中5回戦まで終了しました。昇級争いは次のような状況です。
行方六段、堀口六段と昇級候補の棋士が順当に星を伸ばしています。また、順位戦でなぜか勝てなかった木村七段も1敗で追っていますね。影の主役は、この3名との対戦を残している桐山清澄九段(3勝2敗)かもしれません。泉七段は5回戦目で初めて土が付きましたが、7回戦で木村七段との直接対決を制すれば昇級が期待できそうです。
C級1組順位戦(昇級2名、降級点6名)
10回戦中6回戦まで終了しています。
- 6勝0敗 屋敷伸之八段(2位)
- 5勝1敗 小林裕士五段(5位)
- 5勝1敗 豊川孝弘六段(10位)
- 5勝1敗 中田功六段(12位)
- 5勝1敗 石川陽生六段(16位)
- 5勝1敗 野月浩貴五段(19位)
- 5勝1敗 渡辺明五段(24位)
- 4勝2敗 中田宏樹七段 ほか4名
屋敷八段はともに昇級候補と目された渡辺五段、中田宏樹七段、中田功六段を連破し単独トップに立ちました。順位の良さもあり、ここまで来れば昇級は間違いなしというのが普通の感覚ですが、順位戦で勝負弱さを見せつけてきた屋敷八段だけに油断禁物です。大丈夫とは思いますけれども。そして、もう1人の昇級者争いは激戦です。6名の1敗者の中で残り4戦を全勝できた棋士が昇級することになるでしょう。
C級2組順位戦(昇級3名、降級点9名)
10回戦中6回戦まで終了しています。
- 6勝0敗 千葉幸生四段(12位)
- 6勝0敗 横山泰明四段(42位)
- 5勝1敗 山粼隆之五段(1位)
- 5勝1敗 飯島栄治四段(8位)
- 5勝1敗 宮田敦史四段(9位)
- 5勝1敗 田村康介五段(11位)
- 5勝1敗 高野秀行五段(17位)
- 5勝1敗 安用寺孝功四段(20位)
- 5勝1敗 大平武洋四段(25位)
昇級するには事実上1敗しか許されない厳しいリーグ。この9名に絞られたと言って良いでしょう。注目は未だ負けなしの横山四段。新四段の活躍を見るのは久しぶりです。開幕前から昇級確実と言われていた山崎五段は一つ土が付いていますが、まだ昇級圏内。確率は高いでしょう。プレッシャーのかかる中で、一つずつ白星を積み重ねることができるかが問われます。