NHK杯戦、森内俊之竜王が快勝

藤井-森内 ▲4九玉まで


今日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメント3回戦▲藤井猛九段 対△森内俊之竜王の対局は80手で森内竜王の勝ちでした。これで来週は森内竜王谷川浩司王位の対決となります。

今週の解説者が久保利明八段ということを意識したのかどうかわかりませんが、後手は相振り飛車を選択しました。これに対し先手は油断したのか、飛を振るタイミングを誤って序盤で手損をしてしまいます。そして迎えた上図、後手の次の手には驚かされました。感想戦ではこれがあるのなら玉を寄るのではなく▲4八銀としておくのだったかというコメントもありましたが……。

後手の次の手は何と△6五歩。歩損をして位を取らせても、角交換して強引に攻めようという手です。以下、▲6五同歩 △7七角成 ▲同桂 △3五歩 ▲同歩 △4四歩 として、次の△4五歩 ▲同歩 △5五角を狙います。感想戦の冒頭では両者とも「無理気味でしょう」と話していたのですが、具体的に先手がどうするかとなると指す手が難しく、後手の飛角だけの攻めが手になってしまっているように見えました。

後手の攻めも薄いので、さすがにすぐ先手玉を寄せるわけにはいきません。実際、終盤で先手にもチャンスが巡ってきましたが、結果的にそれを生かせず後手の快勝となりました。じっくり囲ってから勝負と思っていた先手の気持ちが後手にうまくはずされてしまったことで、勝負の流れができてしまったように思えます。両者の調子の差がそのあたりに出ているということなのでしょう。