佐藤康光棋聖の打歩詰誘致手筋

△8五飛まで

朝日オープン選手権の▲佐藤康光棋聖 対△北浜健介七段の対局の変化で、面白い変化が現れました。次の局面をご覧下さい。

先手の手番です。先手玉が飛車筋に入って受けが難しそうに見える局面ですが、ここで▲9六玉 が読みの入った一手。△9四銀 としばられたときに、▲8七香 という手が見えなければ指せない手です。この香打ちは角取りと同時に、玉の退路を自ら断つことで後手の△9五歩 を打歩詰にしています。このように打歩詰を利用して相手の歩打をなくす手筋は「打歩詰誘致」と呼ばれ、創作次の一手問題では時折見られますが、実戦で登場することはめったにありません。先手はこの手筋を前から読んでおり、後手は読んでいなかった。ここで一つ明暗が分かれました。