将棋大賞の行方は

将棋界では各年度に「将棋大賞」と題して優秀な成績をあげた棋士などを表彰しています。今年度はどうなるでしょうか。

勝率一位賞

まず、数字で決まる賞から見てみます。現在は次のような状況となっています。

  1. 0.7647 渡辺明五段(39勝12敗)
  2. 0.7608 深浦康市七段(35勝11敗)
  3. 0.7454 山粼隆之五段(41勝14敗)

深浦七段は今月はもう対局予定がないため、0.76を下回ると勝率一位はありません。山崎五段は残り2局を勝っても届かないため、深浦七段か渡辺五段の争いとなります。渡辺五段は29日の新人王戦2回戦で負けると0.75まで勝率を落としてしまうため、この対局が勝率第一位を決める将棋ということですね。昨年度は3月31日の対局で敗れて勝率一位賞を逃した渡辺五段ですが、今度は決めることができるでしょうか。

……よく見ると、深浦七段は竜王戦の対局が入る可能性がありますか。そこで深浦七段が負けることがあると勝率0.7447まで下がるため、山崎五段にもチャンスが巡ってきます。

最多勝利賞

現在は次のような状況となっており、森内竜王の受賞が確定です。

  1. 46勝 森内俊之竜王(46勝18敗)
  2. 41勝 山粼隆之五段(41勝14敗)
  3. 39勝 渡辺明五段(39勝12敗)

最多対局賞

現在は次のような状況となっており、森内竜王の受賞が確定です。

  1. 64局 森内俊之竜王(46勝18敗)
  2. 55局 山粼隆之五段(41勝14敗)
  3. 53局 谷川浩司二冠(37勝16敗)

連勝賞

山粼隆之五段の22連勝(3月11日から7月30日)で確定です。

最優秀棋士

これがメインの賞なわけですが、今年は見方が分かれています。

この賞は昨年まで羽生善治名人が5年連続受賞しています。しかし、今年度は羽生・森内・谷川がタイトル2つずつで並び、図抜けた棋士がいません。名人と竜王は他のタイトルよりも上と位置づけられていることを考慮すると羽生名人と森内竜王が有力と言えそうですが、そのどちらになるかはこれだけでは判断が困難です。

まず、この2人の今年度における成績を3月19日にまとめたので、見比べてみましょう。日本シリーズ優勝と朝日オープン五番勝負進出の分だけ羽生名人が上を行っているように見えますが、森内竜王もA級順位戦9連勝という大記録があるので感覚としてはほぼ同じように見えます。ということは、前年度との比較で言えば森内竜王が完全に上に立つことになります。

次に、両者の直接対決は8勝8敗の五分です(対戦成績・羽生-森内)。しかし、3回の七番勝負のうち2回を森内竜王が制しているので、どちらかといえば森内竜王ということになりそうですが、王位戦リーグや朝日オープンでの対局で羽生名人が勝っているのも無視できません。

結局、どちらがなってもおかしくはない感じです。純粋に今年度の実績を見るなら羽生名人ですし、勢いを含めた上昇度を見るなら森内竜王ということになるかと思われます。

新人賞

この賞はどのくらいの棋士までが対象になるのかわからないのですが、年齢的に問題なければ、新人王戦優勝の田村康介五段が有力でしょうか。C級2組トップ抜けの宮田敦史四段もありそうです。

最優秀女流棋士

二冠に返り咲いた清水市代女流二冠でしょうか。女流賞は中井広恵女流二冠で。