名人戦第4局、森内俊之竜王が勝って名人奪還に王手

昨日から本日にかけて行われた名人戦第4局▲森内俊之竜王 対△羽生善治名人の対局は、103手で先手の勝ちでした。第5局は6月3・4日(木・金)に行われます。

封じ手の▲4五飛から予想通り飛と桂2枚の二枚換えとなったところで、後手の角に当てた47手目▲3六桂が森内竜王の新手でした。直後に角を切られてしまい空振りになりそうなところですが、その後何かと利いて来るという研究だったのでしょう。後手は取った飛を6九に打ち込みますが、それに対し先手は△2七歩成を誘ってから▲5八玉と飛を取りに行くという好手を見せ、ここでやや先手がリードしたという評判のようでした。しかしその後も一進一退の攻防が続き、後手も先手の龍を殺せそうな局面に持ち込みます。ところがそこで先手は包囲網をふりほどいて後手玉を寄せました。最後はその龍が活躍しての詰み。ここまで一方的な将棋が続いていましたが、この対局は最後までどちらが勝っているのかわからない大熱戦でした。

これで森内竜王は3勝1敗として名人位奪還に王手をかけました。このようなごちゃごちゃした戦いに羽生名人はめっぽう強かったのですが、こういう将棋を見せられると時代が変わったのかなと感じずにいられません。

1937年に名人戦が実力制に移行してから名人を経験した棋士は、現在までに12人います。しかし、いったん名人位を失った後、再び名人に返り咲いた棋士はその中で5人だけです。順に挙げると、木村義雄大山康晴中原誠谷川浩司羽生善治。4人の永世名人+羽生です。つまり、ここに普通の名人と大名人の差があると言えないこともないわけです。森内が6人目になる日が近づいてきました。