日本将棋連盟の情報公開

本日、「平成17年度 公益法人に関する年次報告」が総務省から発表になりました。公益法人とは民法34条に基づいて設立される法人で社団法人・財団法人の2種に分かれますが、実質的な差異はほとんどないため、ここでは特に注意のない限り区別せずに扱います*1

公益法人の数は1998年までは増加傾向を見せてきましたが、「公益性に乏しい又は公益性が認められない法人も少なからず存在している」という批判が出てきたことから公益法人営利企業への転換もしくは解散が進められるようになり、現在は少しずつその数は減ってきています。そして、現在は「公益法人制度の抜本的改革」が推し進められている最中だそうです。

さて、日本将棋連盟は社団法人であり、その民法上の社員(正会員)は現役および引退の男性プロ棋士から構成されています。マスコミ的には国所管の公益法人、「天下り」理事は5859人のように天下りが注目を集めていますが、日本将棋連盟の場合は理事も監事も全員が棋士ですから、その点は大丈夫です。

公益法人を年間収入額規模別に見ると10億円以上の収入のある団体は全体の9.7%にすぎず、財政規模が20億円以上ある日本将棋連盟はかなり大きな団体だと言うことができます。しかし、それに比して日本将棋連盟の情報公開の程度はどうでしょうか。

公益法人の設立許可及び指導監督基準」は情報公開について以下のように定めています。

  1. 公益法人は、次の業務及び財務等に関する資料を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供すること。(細目略)
  2. 所管官庁においては、(1)に規定する資料を備えて置き、これらについて閲覧の請求があった場合には、原則として、これを閲覧させるものとする。

ですから、文化庁経由で情報開示のようにして閲覧することもできますし、千駄ヶ谷にある将棋会館に出向いて見せてもらうこともできるわけです。何かの用事で近くへ行くことのある方で関心のある方は、立ち寄ってみると対応してもらえるはずです。

しかし文化庁経由で情報開示でも書いたとおり、日本将棋連盟のホームページ上でこれらの書類を公開してほしいですね。

2001年に申し合わせられたインターネットによる公益法人のディスクロージャーについてに基づいて、日本将棋連盟もホームページ上で各種の書類を公開するように文化庁から要請を受けているはずです。今回公開された白書によると、国所管の公益法人のうち半数以上、ホームページを開設している法人に限れば3分の2以上は定款・事業報告書・収支計算書といった書類をきちんと掲載しています。今後行われる公益法人改革では情報開示の強化による透明性の向上がうたわれているので、そのようなディスクロージャーが義務化されていくことになると思われますが、日本将棋連盟のような収支の規模の大きな公益法人は、なおさらそうなる前に情報公開の姿勢を強めていくことが求められるのではないでしょうか。

また、プライバシーの保護等に留意しつつ、法人の組織、運営等について、インターネットの活用も含め、国民一般に対する情報開示の強化を図る。開示事項については、現行の指導監督基準による業務及び財務等に関する事項のほか、公益性の判断要件に係る事項、その他役員報酬に関する事項、管理費の水準等法人の適正運営を確保する観点から開示が望ましい事項とする方向で検討する。また、判断主体においても、法人が開示している情報を集約し、インターネットも活用しつつ、国民一般に分かりやすく開示することとする。

*1:「広義の公益法人」として学校法人・宗教法人などを含めることもありますが、ここで言う公益法人は社団法人・財団法人のみです。