来生たかおトークセッション

ミュージシャンの来生たかおのデビュー30周年を記念したトークセッション。テーマは「将棋」。ゲストが島朗八段、坂東香菜子女流2級、観戦記者椎名龍一(遊駒スカ太郎)氏というメンバー。いかにもわかって選んでいるという雰囲気なんですけど、この豪華さは将棋を知らない来生たかおファンには理解されないだろうというのがもったいないですね。

こういうふうに将棋とは全く関係なさそうなところにすごく面白いものがあったりするので油断できません。これまでにもいろいろ見逃してきているのだろうと思わされます。最近はブログだとかRSSだとかで網羅的に見るのが楽になってきているのですが、そうでないページは逆に見落としやすくなってしまったかもしれません。

内容はというと、基本的に来生氏と島八段の対談のようにとりとめもなく進みます。坂東女流2級はいるのかいないのかわからないくらいで、椎名氏は途中参加のせいもあって今ひとつ持ち味を発揮できていませんが、その中で来生氏のステージ・プロデューサーである小松裕二氏が「『将棋にはあまり詳しくない人』代表で、タイムリーな質問を発している」のがところどころで味を添えています。

初めて知ったのが、島朗八段のこんなエピソード。

去年の7月に順位戦で負けた時、あまりに辛くて原宿警察の前で大の字になっちゃったんですよ。夜中の2時ぐらいに、家に帰る気がしなくて。僕はお酒を飲まないので、ストレス解消法がないですから、普通は車を拾ってすぐに帰るんですけど、その時だけは、どうにも辛くて。もう、どうでも良くなったんでしょうね。

将棋順位戦データベースで成績表を見直してみると、昨年7月というのは順位戦3戦目で3連敗したときですね。そのあとも島八段は負けが込んで7戦目までで1勝6敗と完全に降級候補だったのですが、そこから見事に巻き返して5連勝し最終的には6勝6敗の五分まで成績を戻しました。

そんな島八段は今年から日本将棋連盟の理事に就任したこともあり、順位戦でも成績が振るいません。現時点で出だしから4連敗と、再び降級候補となっています(対談時点では初戦を落としただけの段階)。そんな状況で、小松氏の質問が。

小松:A級からB級に落ちた人って、すぐにまた、A級に戻れるものなんですか?

島:なかなか厳しい質問ですねぇ(笑)。僕はA級から落ちて、一回目は一期で戻ったんです。

昨年度A級から落ちた深浦康市八段はすぐに戻るでしょうけれども、島八段はB級1組にとどまれれば御の字でしょうね。がんばってほしいと思っていますが、理事との両立は難しそうです。

ほかにもいろいろな話題が出ていますが、あまり深く突っ込んで話してはいない印象です。もともと深い話をするためのトークではありませんから、そんなものなのでしょう。