負ける動機付けを与える制度

このページでは基本的に将棋に関係ない話はしないのですが、個人的に気になったので少しだけ書いてみます。

かなり報道されていますけども、プロ野球パリーグの話。多くの方がご存じのように、昨シーズンからパリーグではプレーオフ制度が導入され、レギュラーシーズン3位以上のチームに優勝の可能性が残されることになりました。

昨日、西武ライオンズ福岡ソフトバンクホークスにサヨナラ勝ちし、3位を確定させました。しかし、これでプレーオフ進出が確定したわけではなかったそうです。というのも、プレーオフに関するアグリーメントによれば、2つのチームが同率1位となった場合には3位チームはプレーオフに進出できないという意味を持つ規定があるためです。

現在の1位争いはホークスと千葉ロッテマリーンズの2チームの争い。昨日終了の時点で、両チームとも3試合を残して3ゲーム差でホークスリードだったため、ホークスはあと1勝すれば単独1位決定でした。もしホークスが3連敗し、マリーンズが3連勝なら両チームが並んで1位となります。

で、本日の試合の組み合わせがライオンズ対ホークス。ライオンズはすでに3位確定なので、勝っても負けても順位は変わりません。しかし、ホークスに勝ってもらえばホークスの単独1位が決まり、同時にライオンズのプレーオフ進出も決まることになります。つまり、ライオンズにとって今日の試合は勝つよりも負ける方が得だったというわけです。(ホークスにとっては、マリーンズに5ゲーム差をつけてプレーオフでアドバンテージを持つ可能性が残っているため、勝った方が得。)

言うまでもなく、プロの選手には倫理的にも制度的にも勝ちに向けて全力を尽くす義務があります。しかし、それは制度上、負けても得をしないことが保証されていての話だと私は考えます。消化試合で勝っても負けても同じ状況でがんばることを求めるのは正当ですが、勝った方が明らかに損をするのに勝つように求めるのは酷ではないでしょうか。今日の試合はホークスの勝ちでした。ライオンズの選手が全力で戦ったことは疑いないとは思いますが、もやもやした後味が残ったのも確かです。

どのような制度であれ、負けた方が得になるような状況になる可能性をルールを作る段階であらかじめ排除しておくべきだというのが私の意見です。