プロ編入試験、中井広恵女流六段インタビュー

10月10日に行われる瀬川晶司氏のプロ編入試験第4局に先立って、試験官を務める中井広恵女流六段のインタビューが掲載されました。中井女流六段は、6月に女流王将位を奪取され無冠に転落するなど不調が続いていましたが、その直後からは対女流棋士戦は負けなしと、本来の調子を取り戻しつつあるようです。

----試験官に選ばれた心境を聞かせてください。

聞いたときは正直、「何故わたしが?」と思いました。「久保八段とふたりでセット」という表現もちょっと・・と思いましたけど、連盟に所属している以上「やってくれ」と言われたら断われないのではないかと。引き受けるからには女流棋士の立場を考えてもらうきっかけになればと思ったんです。

日本将棋連盟瀬川晶司氏のプロ入りについての文書にある「久保八段・中井女流六段はセットであり、両者の実力を合わせてであれば、四段クラス2名に相当すると判断した」という文は、見方によっては失礼かもしれません。久保利明八段がただの四段よりも強いのと同じ分だけ、中井女流六段はただの四段よりも弱いという意味に受け取れますから。男性棋士相手にもそれなりの実績を残している中井女流六段にとって見れば、抗議したい気持ちを感じて当然だろうと思います。そのあたりを「protest.html」というファイル名が表している……というのは考えすぎですね。

そして、可能ならば男性プロと同じ立場で戦いたいという希望を表明しています。

今はタイトル保持者と数名だけが特別に参加させていただいてるわけですが、全ての男性棋戦に出場できて、対局できるという保障が得られるフリークラス入りに魅力を感じるんですね。もちろん、既存の奨励会という制度があり、卒業した人にその資格が与えられるわけですから、女性だから特別に・・というのは難しいと思いますし、強くは主張できませんが、アマチュアの方たちに門を開いたのであれば、女流も考えていただければ・・という思いです。

瀬川氏が、自分自身だけなく今後も登場するであろう強いアマチュアに門戸を開くことまで念頭に置いて戦っているのと同じで、中井広恵六段も女流棋士全体のことまで考えて指すわけです。

その意味で、今度の対局は将棋界でより大きな影響を持つことになる。どうなるか注目されます。

なお、本日更新された米長邦雄ホームページ将棋の話によると、10月中旬にNHKクローズアップ現代でこの対局などが取り上げられるそうです。詳しい日取りが公表されたら改めてお伝えします。

26日追記:昨日の時点で気付いていなかったのですが、25日付のさわやか日記によると10月17日の予定だそうです。(大きなニュースが入ると延期になることもありますが)