独断で選ぶ2005年の将棋界十大ニュース

今年の将棋界では例年に増してニュースがたくさんありました。そんな中から独断で10個のニュースを選んで振り返ります。基本的にいつもの話題の選択に沿った方針で選んでいますけども異論もあろうかと思います。独断ということでご容赦下さい。これ以外の今年のニュースは独断で選ぶ2005年の将棋界ニュース(番外編)をどうぞ。

第10位:堀口一史座七段が記録的大長考

9月2日に行われた順位戦B級1組▲青野照市九段 対△堀口一史座七段の対局の56手目で堀口七段が5時間24分の記録的大長考をしました。

第9位:インターネットでの提携

日本将棋連盟Yahoo!将棋やlivedoor将棋が提携して指導対局の企画が実現しました。今後、インターネットを利用した連携はさらに深まっていくと思われます。

第8位:日本将棋連盟新会長に米長邦雄永世棋聖

5月26日に行われた日本将棋連盟棋士総会中での理事選挙で米長邦雄永世棋聖が新会長に選ばれました。また島朗八段・森下卓九段などの新しい顔ぶれが理事会入りし、刷新された理事会というイメージを与えました。その後、会長を含め理事の方々は精力的に活動しているようです。

第7位:羽生善治四冠がタイトル14連覇の新記録

10月1日に行われた王座戦第5局で羽生善治四冠が挑戦者の佐藤康光棋聖を下し、王座戦14連覇を達成しました。大山康晴十五世名人の名人位連続保持13期の記録を抜いて史上最長です。この先どこまで伸びるかわかりませんが、他の棋士が更新するところが想像できない記録ですね。

第6位:加藤一二三九段に出場停止処分

5月26日に放送された銀河戦の▲阿部隆八段 対△加藤一二三九段の対局(加藤勝ち)で、加藤九段に「待った」の反則があり本来なら反則負けであったとして、次期銀河戦への出場停止および罰金の処分が課されました。

また、このニュースを契機に加藤一二三九段のこれまでのエピソードが将棋に詳しくない人に間に出回り、一部で反響を呼びました。

第5位:NHK杯戦で橋本崇載vs羽生善治

2004年に放送されたNHK杯戦で既成の棋士イメージをうち破る外見から一部で話題を呼んだ橋本崇載四段(当時)。1月23日に放送された3回戦の対戦相手は羽生善治二冠(当時)ということで注目を集めました。この週の視聴率は普段の3倍だったそうです。この後、2月24日に五段へ昇段し、竜王戦では2組へ昇級とさらなる活躍が期待されます。

また、知名度が上がったことにより将棋関連以外のテレビ番組や雑誌などへの露出が増えました。

第4位:武者野勝巳六段が米長邦雄永世棋聖などを提訴

武者野勝巳六段が運営する株式会社棋泉が、自社で発売したソフトの監修者であった米長邦雄永世棋聖が別の会社で監修したソフトについて著作権侵害があったとして、5月19日に米長永世棋聖など3者を相手取って東京地方裁判所に提訴しました。現在も裁判は進行中です。

双方のウェブサイトで主張が交わされましたが、お互いに不明瞭な点が多く、法廷で傍聴しているわけでもない人間にとってはどのように進行しているのかわかりにくい状況が続いています。これまでリンクをまとめてこなかったので、この機会にまとめてみました。

第3位:吉田正和二段の挑戦

5月15日に史上最年少の19歳で朝日アマチュア名人となった吉田正和氏は、朝日オープンで予選決勝まで進出し実力を示しました。その一方で、史上初の奨励会初段受験に挑戦し9月9日に見事合格。12月26日には二段に昇段し、三段リーグからのプロ入りを目指しています。

第2位:将棋ソフトの活躍、プロ対ソフトの対局が「禁止」に

一つにまとめました。

ゴールデンウィークに行われた第15回世界コンピュータ将棋選手権優勝した激指は、アマチュア竜王戦全国大会で今年設けられた将棋ソフト枠から6月25・26日に出場しベスト16に入りました。将棋ソフトがアマの全国大会に出場したのはこれが初めてでした。

6月2日に公開されたフリーソフトBonanzaは商用ソフトに引けを取らない実力で注目され、プロ棋士奨励会員などが負けたと噂されました。

また、北陸先端科学技術大学院大学教授の飯田弘之六段の研究室で開発されている将棋ソフトTACOSが、9月18日に橋本崇載五段と平手で対局し、敗れたもののあと少しのところまで追いつめる活躍を見せました。

YSS(AI将棋)は10月22・23日に行われた第3回国際将棋フォーラム中でのコンピュータ将棋王者決定戦2005で優勝し、エキシビションマッチとして森内俊之名人と角落ちの対局を行いました。結果は名人の勝ちでしたが、今後の可能性を見せました。

このように将棋ソフトの活躍が続く流れの中で、10月14日に日本将棋連盟はプロ棋士と将棋ソフトが対局する際はあらかじめ主催社・連盟で相談する方針を発表しました。この判断は「対局禁止」と報道され、英字紙でも取り上げられるほど話題を呼びました。

これらの話題は詰将棋おもちゃ箱将棋ソフト・コンピュータ将棋のページで詳しく紹介されています。

第1位:瀬川晶司氏がプロ編入試験でプロ入り、新制度検討へ

2月3日に発売された将棋世界3月号中のコラム「盤上のトリビア」で、対プロの公式戦で好成績を挙げていたアマチュア瀬川晶司氏がプロ入りの希望を表明し、3月1日に瀬川氏は日本将棋連盟理事会に「嘆願書」を提出しました。これに対し連盟は5月26日の棋士総会で特例としてのプロ編入試験の実施案を可決。7月18日の第1局を皮切りにおよそ1ヶ月に1局のペースで編入試験が行われ、11月6日の第5局に勝って3勝2敗とした瀬川氏のプロ入りが決まりました。この挑戦は将棋関係以外のメディアでも、将棋関連の話題としては近年見られなかったほど取り上げられ、瀬川四段は将棋界の中で知名度の高い棋士の一人となりました。

この結果を受けて、プロ棋士9名からなる「プロ編入及び奨励会制度検討委員会」が発足し、新制度の検討が行われています。

関連記事が多すぎて整理できていません。とりあえず下記にリンクしておき、後日改めてまとめを作る予定です。