名人戦契約問題についていろいろ(10)

昨日の件で朝日新聞からも記事が出ました。

そして、本日米長邦雄ホームページが更新されました。名人戦問題についても詳しく触れられています。

席上私は、先の通知書はあくまで来年夏以降の契約自動延長のストップの申し入れに過ぎないことをはっきりとお伝えしました。あくまでも毎日新聞社との契約が円満裡に成立することを望んでいます。

ということで、今回の更新では、毎日新聞社と交渉する意志がはじめからあったとの見解が示されているようです。また、理事会から全棋士に手紙を出したことを明らかにしています。その内容は後日公開とのことで、毎日新聞社の方が情報公開に積極的な印象が継続しています。

週末に全棋士に理事会から手紙を出しました。これにつきましては、棋士の反応、意見を聴いた上で又HPに掲載します。

この手紙は、名人戦にとどまらず、改革とは何かを問いかけたものです。

別のページでは、15年前の名人戦移籍問題の際に米長邦雄永世棋聖中原誠永世十段などが故大山康晴十五世名人に協力して毎日新聞社を支持したことに触れ、次のように述べています。

それが今回このような事態を引き起こしてしまいました。辛い。しかし、正しいと信じた道は進みます。

どうかこのまま新聞社が移動しないことを念じております。

そして、そういうことを書くかと意外に感じたのが「勝負と疫病神」と題する部分。作家の大崎善生氏を「疫病神」と批判しています。

世の中には人を不幸にする人と、人の不幸でメシを食っている人がいる。
それが大崎善生君です。
今回の騒動でも彼が火つけ役、持ち込み原稿、コメントの羅列。
名人戦移行に関しての週刊誌や新聞を読むと殆んどが大崎氏の独り芝居であることが分ります。稼ぐね。 その結果、将棋界内部は結束が固まりつつある。
実は彼が悪く言う毎に将棋界は勝利に近づいている。恩義云々等を述べていますが、彼は永年将棋界で生活していたのです。現在将棋連盟は赤字に転落していますが、彼が月刊誌の編集長で売り上げ減に貢献したのが一因です。
大崎善生氏は5年以上前に日本将棋連盟円満退社。もはや内部情勢を正確に知る由もなく、現体制や職員の意識改革がなされたことも知らないのでしょう。

マスコミ各社に申し上げます。
私共の説明不足による毎日新聞社への非礼はお詫びします。それを責められては甘受するよりありません。しかし、品のある有識者はいくらでも居る筈ですので、紙面にはそのような人々の声を載せるべきではと思います。
おかげさまで、理事会がなにもしなくても棋士の同意が得られそうになってきました。感謝。
4月21日の新聞記事の中にも彼が出ている。「棋士たちも自分たちの胸に手を当てて、今回の件についてよく考えてもらいたいと思います」
これを読んで、棋士も職員も笑い出したものです。

大崎善生氏は将棋世界の元編集長で、昨年引退した高橋和女流三段の夫でもあります。『聖の青春』と『将棋の子』という将棋ノンフィクションで注目され、現在は小説家としての地位を固めています。

大崎氏が多くの記事でコメントをしていたのは事実です。新聞記事では『名人戦』争奪 半世紀の因縁 “盤外戦”を読む特集:将棋・名人戦移管問題 突然だった「解消」通知−−経緯説明しますなどがありますし、複数の週刊誌の記事でもコメントがありました。その意味では、最も目立っていたと言ってもいいかもしれません。ただ、それだけでは「火つけ役」と言うなら言いすぎですから、何か書かれていない情報があるのでしょう。それなしに断定するなら軽率すぎますので。

棋士総会は棋士の票だけを固めれば勝てますが、そうであってもファンを全く無視するようなことをしないでほしいと思います。内部の人は大崎氏の行動についての情報を持っているのかもしれませんが、第三者的なファンの立場からは大崎氏を「悪人」と呼ぶだけの十分な根拠はこの文章中には書かれていないように見えます。米長永世棋聖は、悪く言われることによって逆に内部の結束が強まっていると言います。それが事実かどうか知りませんが、もし結束が強まっているのならこのような批判を書くことは逆に結束を弱める可能性があります。

それぞれの主張がだいぶ出揃ってきたのでまとめに入りたいのですが、まとまった時間がまだとれそうにありません。

4月24日追記

本日、次のような記述が末尾に追加されました。

あえて個人名を挙げたのは、将棋界のためであり、正しい情報を広く知っていただきたいためだからです。
日本将棋連盟毎日新聞社さんの誤解を解き、真意を伝え、契約継続を前提とした話し合いを願っています。
わざと火をつけるような内部の人間、あるいは元職員がいるのであれば苦言を呈します。

正しい情報を広めてほしいものですね。上の方で引用した文章には肝心な情報が含まれていないのですが。