瀬川晶司四段のNEC所属契約についての記事

紹介が遅くなりましたが、瀬川晶司四段がNEC所属に(再)の件について、5月11日に日経産業新聞で記事が出ていました。「NEC、グループ出身の瀬川棋士 起用」という見出しです。

「対局の配信をのべ百万人が見た。生かさぬ手はないと考えた」。宣伝部の中山啓二グループマネージャーは語る。瀬川氏は自ら日本将棋連盟に嘆願書を提出してプロ編入試験の開催を要請、注目を集めた。その話題性に目を付けたNECが対局を自社のネット接続事業「ビッグローブ」で配信したところ、多数の視聴者を集めた。社内からは「ぜひ広告に使おう」という声が上がった。

このような経緯もあって瀬川四段が起用されました。将棋が情報技術との親和性が高いことからNECの事業に関して対外的なイメージ向上をより期待できるだけでなく、社内の士気高揚にも貢献できるという判断があったそうです。

そして、記事は将棋界の動向を記して締めくくられています。

もっとも、この所属契約には瀬川氏を金銭面で援助する意味も含まれている。プロ棋士とはいえ、成績次第では収入が年間百万-二百万にとどまる。ワイイーシーの首脳が瀬川氏の生活を気遣い、NECに支援を求めた経緯がある。瀬川氏も「NECの配慮を感じる。できる限り恩返しをしたい」と話す。

プロ棋士が企業と所属契約を結ぶのは初めて。日本将棋連盟米長邦雄会長は「他にも同様の事例が起こり得る」と述べ、羽生善治三冠など全ての棋士が企業と契約する可能性があるとした。NECの広告戦略は、瀬川氏が「企業と棋士の関係の先駆け」になれるかという点でも注目される。

瀬川四段の例は特殊ケースでしたが、可能性としては開かれているということで、そういう事例が出てくる可能性は考えられます。全体としてとても面白い記事でした。