名人戦契約問題についていろいろ(38)

まず、7月13日付の記事から。

将棋の名人戦問題で、毎日新聞社からの移管を希望する朝日新聞社は13日、東京都内で棋士に対して同社の提案内容に関する説明会を行った。

毎日は棋士の戸別訪問などで積極的に立場を明らかにしてきたが、朝日は初めて。棋士側から要望があり、朝日が応じた。この日参加した棋士は若手を中心に10人。

朝日が今年3月に5年契約を日本将棋連盟理事会に提案したのに対し、毎日は今月10日、7年契約を提案。棋士間で「朝日から6、7年目に関して新しい提案が出るのでは」と話題になったが、鈴木繁・朝日新聞東京本社文化部長は「担当者レベルでは追加提案は考えていない」と述べた。

また、「名人戦を取れなかった場合、朝日オープン将棋選手権を縮小するのか」という棋士の質問には「負けた時のことは考えていない」と話したという。

朝日新聞社が初めて説明会を行ったということで、出席者は少ないながらも影響力はあるのでしょう。今のところ追加提案はないようですね。これを記事にする読売新聞もさすがという感じです。

ここにきて朝日新聞社も動かなければ勝てないという認識になってきたのかもしれませんが、これまでずっと見守る姿勢を貫いてきた中でどこまで言動の整合性を保ちながら活動できるのか注目しています。

次に、14日の記事から。

日本将棋連盟からの発表はまだありませんが、毎日新聞社日本将棋連盟に申し入れを行ったそうです。7月12日の名人戦契約問題についていろいろ(37)で私は「『表決方法』というのは投票を無記名で行うかどうかというような話ではないのでしょうか」と書いたのですが、読売新聞の記事では次のようになっていました。

毎日は10日に7年契約案を提示したが、朝日新聞社は5年契約案のため、連盟理事会側は「条件が異なるので毎日案をそのままかけるかどうか分からない」と含みを持たせていた。

この言い方だと、5月26日の棋士総会決議に反しているという毎日新聞社の主張がもっともに見えます。このあたりの姿勢は6月7日の名人戦契約問題についていろいろ(32)で紹介した読売ウイークリー6月18日号の記事中の「総会では、毎日の提示額が朝日の額を大きく下回った場合、そのままの額で投票にかけることはない、と理事が説明した」という話とも共通するものがありますね。

それから、武者野勝巳六段が7月12日の棋士会の内容についてのメモを公開しています。

どこまできちんと再現されているのかは不明ですが、個々の発言を見るとそれはどうかと思わされるものが見受けられます。米長邦雄永世棋聖は理事会が中立であるとことさらに言う必要性を感じているようですが、他の理事の棋士の発言はそういうことはあまり意識していないように見えます。

7月22日リンク追加(遅くなりました)