チェス元世界王者がロシアで一時拘束

チェス元世界王者のガリカスパロフ氏が4月14日にモスクワでのデモ中に拘束され、その後1000ルーブル(約5000円)の罰金を科せられて釈放されたそうです。カスパロフ氏はチェスから引退した後、ロシアの野党勢力連合体「もう一つのロシア」の指導者として政治活動に身を投じています。

ロシアの治安当局は14日、モスクワ市中心部でプーチン政権に反対するデモ行進に参加しようとしていた元チェス世界王者で反体制指導者でもあるカスパロフ氏ら野党勢力100人以上を拘束した。年末の議会選、来春の大統領選を控え、政権の強硬姿勢が改めて鮮明になった。

また、4月15日にはプーチン大統領の故郷であるサンクトペテルブルクでも反政府デモが決行され、同じく100人以上が拘束されたとのことです。新聞記事の解説によると、ロシア国民の支持が高くマスメディアも抑えるなど強固な基盤を築いているプーチン政権に対して、野党勢力が政権の圧政ぶりを印象づけることで欧米各国からの批判を高める狙いがあると見られているようです。これに対して、政権側は選挙が近づいていることもあり

「もう一つのロシア」には、カシヤノフ前首相やチェスの元世界王者カスパロフ氏ら知名度の高い人物が名を連ねるが、両氏が率いる団体は会員や地方支部の数が足りず、下院選挙に参加できない。

このため、街頭行動に打って出ることで政権側の厳しい取り締まりの実態を国外に伝え、「民主主義の後退」を指摘する欧米のプーチン批判を高めるよう促す戦術を取っている。

プーチン大統領は、「安定」を求める国民から高い支持を得ている。任期切れとなる来年春以降の体制の行方を左右するのも大統領の意向次第といわれ、「もう一つのロシア」は政権に脅威となるような存在ではない。下院では与党「統一ロシア」が7割近くの議席を占め、メディアも管理下に置き、プーチン大統領は強大な権力を築いた。

大統領が、たとえ影響力の弱い勢力といえども、今回のように容赦なく取り締まるのは、これから本格化する選挙戦での政権批判を抑えるとともに、「街頭行動がウクライナのような政治危機に発展する事態を恐れているため」(消息筋)とみられている。

カスパロフ氏の政治家として発言はよく知りませんが、「せんすぶろぐ」で以前取り上げられていたのを思い出しました。