『将棋ガイドブック』 まえがき

将棋ガイドブック(isbn:4819700804)というカテゴリを作ってみました。少しずつ内容を見ていきたいと思います。目次は11月19日を参照下さい。

まず全体を通しての感想から。この本は個人で買う性格の本ではありません。将棋道場に一冊、将棋部の部室に一冊、大会運営者が一冊、図書館に一冊というように、あるべきところにあって見たいときに見られるようになっていれば十分でしょう。

この本は「日本将棋連盟開発課」の編集ということになっています。どうしてわざわざ「開発課」をつけたのかわかりませんが、他の課が内容について関知しないというわけではなく、日本将棋連盟公式の本であることは間違いありません。奥付のページにはそのほかに制作協力として沼春雄六段と堀口弘治六段の氏名が記載されています。全体としては堀口六段が中心となりつつ、将棋の歴史・用具・用語などの部分で沼六段が協力して書かれたということのようです。

さて、「まえがき」は日本将棋連盟会長の中原誠永世十段の文章です。この本が刊行された背景は次のように説明されています。

最近は伝統文化の力が再認識され、教育現場でも実際に役立てる機会が増えてきており、将棋界もますます普及振興に努めなければならないと思います。特に初めての方へのご案内には、技術だけでなく将棋に関するいろいろな知識を提供することが現在の将棋界としてより必要となってまいりました。

続いて、堀口弘治六段の「執筆にあたり」という文章が掲載されています。次の文に見られるように、この本の役割は将棋を指す上で誤解を呼びやすい要素について、日本将棋連盟として規範を示すことにあると思います。

簡単なようで実は、様々な思い違いをしている場合があり、理解できなかったり、恥をかいたり、時にはトラブルの原因となったりして、本末転倒の結果にもなりかねません。

そして次にあるように、改訂版や英語版の出版も視野に入っているようです。利益の出るものではありませんが、むしろ商売にならないからこそ進めてほしい事業です。

今後も必要に応じ、改訂を重ね、内容のさらなる充実を図るとともに、翻訳をし、海外普及の一助にされることを切に願うものであります。

次から「総則」を見ていきたいと思います。