相矢倉定跡

どちらも、一局の将棋と判断される局面なのでしょうか。

一応そんな感じですが、どちらも最近のプロ間では指されることの少ない形です。

前者は5八飛戦法などと呼ばれていて、『羽生の頭脳6 最強矢倉・森下システム』あたりで先手側の立場で推奨されている指し方ですが、『現代矢倉の闘い』、『これが最前線だ!―最新定跡完全ガイド』、『東大将棋ブックス矢倉道場 第2巻 続・4六銀』になると後手持ちという雰囲気に変わっています。プロの実戦例はここ5年ほどはないようです。

現在の定跡は以下のように進みます。

後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1

                                                        • +
v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香
・ ・ ・ ・v飛 ・v金v玉 ・
v歩 ・v角v歩v銀v金 ・v歩 ・
・ ・v歩 ・ ・v歩v歩v銀v歩
・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ 歩 歩 ・ 銀 歩 歩 歩
歩 歩 銀 金 ・ 歩 桂 ・ ・
・ 玉 金 角 飛 ・ ・ ・ ・
香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香
                                                        • +

先手の持駒:歩 
後手番
△5一飛 ▲5五歩 △5四歩 ▲1五歩 △同 歩 ▲5四歩
△同 銀 ▲5五歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 角 ▲4六銀
△5四歩 ▲5五銀 △同 歩 ▲2八飛 △1六歩

最後の△1六歩が島朗八段の新手で、この後変化はありますが駒損にもかかわらず後手やや指しやすいということらしいです。先手としては▲5八飛と回るところで▲3八飛とするのが現在の主流かもしれません。(これも後手が3一玉型なので微妙ですが。)

後者は▲9六歩が近年では実戦例の少ない手です。とはいえ先手が悪いということはなく、2002年王座戦第1局にも登場したように、あり得る手だと思います。この局面はどちらかというと後手が避けにくいため、先手有利だとすると相矢倉定跡が変わります。『矢倉道場 第2巻』ではあまりはっきり書かれていないので、興味あるところです。

▲9六歩 でないとしたら、▲9八香から穴熊を目指すか、▲6五歩とか▲5七角として攻めるかという感じです。