棋譜の新たな可能性

雑記帳(メジャーリーグ、将棋、抜書き) by Mochio Umedaより神崎健二七段へ、一昨日の補足です

一局の持つ情報量の豊富さを丸一日シャワーのように浴びるという貴重な経験をした僕は、その貴重な情報がどこにも記録されることなく失われていくことに、言いようのない哀しさを感じた。

こんな経験が「棋譜の派生的(デリバティブ)な価値をオープン環境で追求できないだろうか」という一昨日の感想の背景になっている。

控え室と解説会場という閉じられた空間の中でのコンテンツを、インターネット上のオープン空間でのコンテンツは、必ずや凌ぐであろう。もしある棋譜が感動的なものなのであれば、より多くの人達の関与によって。

上に引用した部分だけでなく、全文を多くの方に読んでいただきたいと思います。

話は変わりますが、最近私は観戦記文学の古典と言われる「本因坊名人引退碁観戦記」(『川端康成全集第二十五巻』、新潮社)を読んでいます。読んでいるといたるところで昔と今の違いを痛感させられます。具体的なことはいずれ書きたいと思いますが、観戦記を書く環境は昔の方が恵まれていたと言えるでしょう。

将棋の対局がもたらす感動を伝えることが難しくなってきた現代の観戦記にかわって、インターネットが果たすことのできる役割があります。そんな新しい視点を感じました。