NHK杯戦、森内-谷川の名局

▲森内 △谷川 ▲8四銀まで


今日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメント準々決勝▲森内俊之竜王 対△谷川浩司王位の対局は、126手で後手の勝ちでした。解説は羽生善治三冠。豪華な組み合わせでそれぞれの持ち味を存分に発揮した名局となりました。

振り飛車党がいないのに、なぜか戦形は相振り飛車。その中でも珍しい相四間飛車でした。そこから互いに美濃に囲ったところで、後手が谷川流の早い仕掛けを敢行し、先手も自陣角で対抗。駒得した後手がやや優位に立って終盤を迎えます。しかし、先手も森内流の粘り腰を発揮し容易に土俵を割りません。金を自陣に投入して自玉の寄り筋をなくしてから後手玉に迫る先手。そうしているうちに後手玉に寄りが見えて逆転模様となってきます。ところが、谷川王位は詰みを読み切っていました。龍切りから持駒を使い切る長手数の詰みで見事に先手玉を討ち取りました。それが上図の局面です。実際にはこの前に先手に逆転の筋があったのかもしれませんが、最終的には光速の寄せの読み勝ちということでしょう。

羽生三冠はしゃべりが上手なわけではないのですが、さすがの読みの早さで的確な解説を披露し、勝負のポイントがわかりやすかったです。感想戦を見られなかったことが唯一の心残りでしたが、全て含めて記憶に残したい将棋でした。本当に将棋は面白い。