NHK杯戦、久保利明八段が決勝進出

129手で先手の勝ち


本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメント準決勝▲久保利明八段 対△谷川浩司王位の対局は、229手で先手の勝ちでした。来週21日(日)に放映される決勝戦は久保八段と羽生善治三冠の組み合わせになります。

戦形は相振り飛車。どちらも美濃に囲います。角交換の後、一度に歩2枚を切ってから角を6六に据え、9筋の端攻めを成功させたあたりは先手がやや指しやすい雰囲気となりました。後手から先手玉頭への強引な攻めを受けながら先手が馬を作って後手の龍を押し戻したあたりは先手が優勢になったかと思ったのですが、そこから後手が角打ちで手を作り一気に形勢は後手に傾きました。後手は2枚の龍で先手玉を挟撃体制に持ち込み、あとは寄せを待つばかりかと思われたところ、先手の粘りが強烈で後手は寄せ損なってしまいます。そして、先手は駒損しながらも入玉に成功。そこからの後手の追撃も届かず、先手が大逆転勝利を収めました。後手は先手に飛車を渡したあたりで何か誤算があったのでしょうか。寄せ損なうのは谷川王位らしくありませんが、入玉模様の将棋で弱くなるのは谷川王位らしいと言えるかもしれません。

序盤からたびたび編集が入ったため長手数になることは予想が付いたのですが*1、まだ時間があるのか、こんな局面なのにまだ続くのかと、ずっとはらはらさせられました。感想戦を映すために考慮時間をカットしたのかと思ったほどです。NHK杯で229手というのは第何位なのでしょうか。上図は投了の局面。2九の桂も8三の歩も打った駒なので、すべての駒が動いたことになります。

解説は久保八段の師匠の淡路仁茂九段。劇的な形での弟子の決勝進出がうれしかったようで、最後は非常に感慨深げでした。「不倒流」が乗り移ったかのような久保八段の逆転劇でした。

  • せんすの将棋日記3月14日分((余談ですが、テキスト形式の盤面の前に<tt>を後ろに</tt>を挿入すると見やすくなるのではと思います。15日追記:さるさる日記では利用できるタグがほとんどなく、<tt>は使えないようです。困ったものですね。早とちりした提案をしてしまい失礼いたしました。))

*1:長手数になって放送時間に収まらなくなったときは、通常最後の方の手をずらずらっと並べて終わりにしてしまうのですが、今回は30秒の秒読みのうち初めの20秒をカットするような手法が取られました。