明日のNHK杯戦、橋本崇載四段に注目集まる

すでに皆様ご存じの通り、明日23日(日)午後10時20分からのNHK杯戦は羽生善治二冠対橋本崇載四段の対局です。「いろいろな意味で注目されている」対局ですね。(今日の囲碁将棋ジャーナルでの、矢内理絵子女流四段の表現。)

将棋という伝統を重んじる世界でのこの恰好ですから、橋本氏が異色の棋士として注目を集めるのは当然でしょう。将棋に全く興味のない私のような人間でも、当日の放送を見ようという気になってくるから不思議です。確かにその広報効果は、馬鹿にしたものではありません。

というように、将棋に関心の薄い人までが明日の放送を見ることが予想されます。盛り上がりはせいぜい局所的なものかもしれませんが、もとの視聴率が低いだけに、目に見える効果が数字にあらわれるかもしれません。楽しみです。

そこで、NHK杯戦の仕組みについて少しだけ解説してみます。

NHK杯戦は全棋士女流棋士1名が参加するトーナメント戦形式の棋戦です。週1回の放送ですので、テレビに映るのは50名だけ。現役のプロ棋士は現在150名以上いますから、予選を行って50名に絞られるということになります。およそ100名は予選の段階で姿を消し、対局者としてテレビに映ることはありません。

しかも、50名中32名は順位戦上位棋士などのシード枠として確保されているため、予選から勝ち上がれる枠は18名分しかありません。この18名分の枠をおよそ120名で争うのですから、6から7名に1名しか予選を勝ち抜けないという計算になります。たいていの場合、3連勝しないと勝ち残れません。

橋本四段はこの狭き門を3年連続でくぐり抜けています。つまり、橋本四段は決して弱くないということです。そのほかのデータを並べてみましょう。(棋士別成績一覧を参考にしました。)

  • 年齢21歳(1983年3月3日生)は全棋士中4番目の若さ
  • 通算勝率6割5分5厘は100対局以上の現役棋士中12位(1月18日現在)
  • 竜王戦3組(1から6のうち上から3番目)はC級2組棋士で単独トップ。20代棋士では渡辺・久保に次ぐ。

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