エスカレーターで将棋倒し

名古屋の地下鉄駅のエスカレーターで将棋倒しの事故が起こり軽傷者が出たそうです。このような事故は「将棋倒し」以外のなにものでもないわけで、そう表記するのが普通の感覚だろうと思います。

この事故に関する記事で、当初「将棋倒し」と表記されていた部分が「転倒」などの表現に差し替えられる現象が見られました。これまでもたびたび観察されていたものです。現場の記者は「将棋倒し」が禁止用語とされているとは思いもよらない、という非常にもっともな事情が背景にあると考えられます。

13日午前8時20分ごろ、名古屋市天白区塩釜口1丁目の同市営地下鉄鶴舞線塩釜口駅の上りエスカレーターの降り口付近で、乗客13人が将棋倒しとなった。

朝日新聞は本文で「将棋倒し」。見出しも当初は「将棋倒し」でしたが「転倒」に書き換えられています。

13日午前8時20分ごろ、名古屋市天白区塩釜口1の市営地下鉄鶴舞線塩釜口駅ホームの上りエスカレーターで、乗客13人が転倒する事故があった。15〜17歳の高校生13人が腰やひざを打つなど軽傷を負った。

毎日新聞は見出しでも本文でも「転倒」です。当初はいずれも「将棋倒し」が使われていました。

13日午前8時15分ごろ、名古屋市天白区天白町の市営地下鉄鶴舞線塩釜口駅で、ホームから改札口へ上るエスカレーターに乗っていた客が次々に転倒、高校生ら13人が軽傷を負った。

読売新聞は見出しも本文も「次々転倒」でしたが、検索してみると当初は「将棋倒し」だったようです。

産経新聞は、見出しも本文も「転倒」でした。共同通信伝だと思います。

調べていたら、2001年当時の記事が読めるのを見つけたのでメモ。

同連盟は「本来、将棋倒しは子供向けの遊びで、駒(こま)をきれいに並べて最後まで倒した達成感は、子供心を成長させる大切な場面でもある。単に倒れる状況だけを見た表現として事故などに引用されるような遊びではない」と指摘。その上で「将棋の文化的普及と振興を進めている当連盟としては、遺憾に思っている」などとしている。