日本将棋連盟の公益性

「将棋ビジネス」考察ノートのコメント欄から知った話。

1996年9月20日閣議決定された「公益法人の設立許可及び指導監督基準」に次のような決まりがあるという指摘です。

理事のうち、同一の親族(3親等以内の親族及びこの者と特別の関係にある者)、特定の企業の関係者(役員、使用人、大株主等)、所管する官庁の出身者が占める割合は、それぞれ理事現在数の3分の1以下とすること。

また、同一の業界の関係者が占める割合は、理事現在数の2分の1以下とすること。

これは法律ではありませんから破ると違法というわけではないのですが、所管官庁からの指摘を受けても改善できない場合は公益性が認められないということになり、公益法人としての認可を取り消される可能性があります。日本将棋連盟の理事は全員がプロ棋士ですから、「同一の業界の関係者」という見方ができるかもしれません。

上記規定の運用方針には次のように書かれています。

また、同一の業界の関係者が理事の多数を占めている場合には、そのような法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現ではなく、その業界のみの利益や親睦を目指すものとなるおそれがあることから、同一の業界の関係者が理事現在数の2分の1以下とする必要がある。

ここでいう「同一の業界の関係者」は、同一の産業に属する、継続して商業、工業、金融業その他の事業を行う者を指す(個人事業主を含む。)。同一の産業か否かについては、日本標準産業分類における中分類を一つの参考資料とし、それぞれの実態を踏まえ、所管官庁が判断する。なお、企業等を退職した者についても、退職後10年未満の間に理事に就任した場合には、当該企業が属する業界の関係者に含まれる。

日本標準産業分類(平成14年3月改訂)によると、プロ棋士の属する産業はどうなるのか今ひとつよくわかりません。日本将棋連盟の会員ということで、「9199 他に分類されない非営利的団体」ということになるのでしょうか。

そういう意味では同じ業界の関係者であっても、公益のために働いている人の集まりと思えば問題にならないような気もします。結局、循環しているわけですけれども。要するに、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」の初めの方に書かれている「特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主たる目的とするもの」でないようにしなければなりません。日本将棋連盟が誰のためにあるものなのか。棋士の互助組織であってはいけないということですね。