「絨毯爆撃」で、ばか詰裸玉一覧がほぼ完成

盤上に玉が一枚あるだけの詰将棋を「裸玉」といいます。普通の詰将棋の裸玉は詰将棋おもちゃ箱 − 詰将棋研究室に詳細な検討が掲載されています。

それでは、両者が協力して玉を詰ますばか詰では裸玉がどのくらい存在するのだろうというのがたくぼんさんの問題提起でした。何人もの方が多数の例を報告しましたけれども、今日、神無太郎さんによってほとんどすべての検討が完了したようです。完全な検討ではありませんが、これ以外に完全な作品が存在するとは私にはちょっと思えません。

それほどの検討を可能にしているのは、Onsite Fairy Mateで配布されているフリーソフトのfmです。コンピュータが詰将棋を高速に解図できることはすでに広く知られていますが、それはばか詰も例外ではありません。というよりも、ばか詰の方が手順が一直線であるだけにコンピュータにとって考えやすいかもしれません。ソフトを使って、玉が1一にいるとき・1二にいるとき・1三にいるとき……と自動的に繰り返して解かせれば、あとは放置しておくだけでコンピュータが結果を出してくれるわけです(効率よく解かせようと思うとノウハウが必要になりますが)。このようなやり方は(やや物騒ですが)「絨毯爆撃」といわれています。

コンピュータでいきなり結果がわかってしまうことを味気なく感じる人もいるだろうと思います。しかし人間はそれを乗り越えて行かなくてはなりませんし、事実、乗り越えていけるはずです。今回は裸玉という極端に単純なテーマだったためにコンピュータによる全検という手段だけでリストを作成できましたが、これがもう少し複雑になるととたんに検討時間が現実的な範囲を大きく超えてしまいます。例えば、今回と同じような方法で飛角図式を検討できるようになるには、まだまだ年数がかかるはずです。

とすると、ある程度以上複雑な作品として成り立つ図を作るには、ピンポイントにこの図が良さそうと人間が指定しなければなりません。その周辺で配置を少しずつずらしながら絨毯爆撃を行う。これがばか詰などのフェアリー詰将棋ではよく使われる手法であり、今後は普通の詰将棋でも採用されるようになっていくのではないかと考えています。