「Xデーは2015年」

昨日発売の「週刊文春」12月1日号に「腕上げるコンピュータ将棋、<名人>撃破は2015年?」という記事が出ています(半ページほど)。

電気通信大学助手の伊藤毅志氏のコメントで「Xデーは二〇一五年というのが関係者の共通認識になっています」という話が出ています。その具体的な根拠は(おそらく紙数の関係で)述べられていませんでしたが、科学技術動向研究センターの技術予測でもほぼ同様の結果とされており確かなものだと思います。

すでにアマチュアの県代表は敗れました。次にアマトップ、プロの下位、中堅、A級ときて、最後に将棋界のトップ棋士が敗れるまでに10年かかるということです。言うまでもなく、これは人間側がコンピュータを研究して対策を立てることを前提にした予測です。人間が無策のまま戦えばもっと早く決着がつくでしょう。週刊将棋11月23日号では、竜王戦第3局「タイムテーブル」の中に「最近のタイトル戦では恒例となったソフトのボナンザ対プロ棋士戦で盛り上がる。『強すぎる』と嘆くプロ多数。」という記述があります。こういう経験を繰り返して学んでいくと、対策も立てやすくなるはずです。

週刊文春の記事は伊藤氏の次のようなコメントで締めくくられています。

単に強さだけを競うのは、あと数年で廃れていくのではないでしょうか。今後は対戦して楽しい、人間らしい指し手を選ぶプログラムへと、研究の方向が変わるような気がしています。

現在の時点でもすでに誰も将棋ソフトに勝てないと言ってもいいくらいの状況になっています。そこで、コンピュータの強さを段階的に切り替えられる機能が求められますが、不自然さを表に出さずに弱くするのは、単に強くするよりも難しい課題です。人間がどのようなときに間違いやすいのか、どのような指し方をされるとぎこちなく見えるのか、そういったことをプログラミングしやすいような形で理解することが必要になりそうです。

将棋の単純な実力モデルを考えるおはそういう観点からも面白い試みだと思います。