順位戦C級1組 渡辺明竜王が辛くも昇級

3月7日に順位戦C級1組の最終戦が行われ、渡辺明竜王のB級2組への昇級が決まりました。注目の2局は、▲窪田義行五段 対△渡辺明竜王の対局が107手で先手の勝ち、▲中田功七段 対△岡崎洋六段の対局は147手で先手の勝ちでした。

上位陣の成績は以下の通りです。

すでに昇級を確定させていた山崎六段は最終戦も勝ち、全勝での昇級です。渡辺竜王と岡崎六段はともに敗れて、渡辺竜王が辛くも昇級となりました。

渡辺竜王に勝った窪田五段、岡崎六段に勝った中田功七段は、今期に関してはすでに昇級も降級点も関係なくなっていました。もちろん勝つと負けるとでは来期の順位が変わってきますからそれだけでも十分にがんばる理由になりますが、そういったこととは無関係にどんな状況でも全力で指すという好ましい伝統(いわゆる「米長哲学」)が将棋界にはあります。実は、個人的な予想は渡辺勝ちでした。実力だけを考えればどうなるかわからない要素が多々ありますが、渡辺竜王のように選ばれた感じを漂わせている棋士は勝たなければいけない将棋を勝つようになっているのであろうというある種運命論的なものを感じたからです。河口俊彦七段がよく書いているようなことと同じ感覚ですね。しかし、結果は渡辺竜王が負けて昇級、これは一番なさそうだった展開で、だからこそ面白いということなのでしょう。岡崎六段にとっては悔やみきれない敗戦となりました。

山崎・渡辺は直接対決があったので同時昇級はないだろうというのが私の当初の予想でしたが、それを上回る充実ぶりでこの先に期待が持てそうです。2人ともさっさとA級まで上がってほしいですね。

さて、下位の成績は以下のようになりました。

  • 22. 3勝7敗(05) 勝又清和五段
  • 23. 3勝7敗(09) 小倉久史七段
  • 24. 3勝7敗(16) 神崎健二七段
  • 25. 2勝8敗(01) 田丸昇八段(1つ目の降級点)
  • 26. 2勝8敗(23) 児玉孝一七段(C級2組へ降級)
  • 27. 1勝9敗(22) 淡路仁茂九段(C級2組へ降級)
  • 28. 1勝9敗(14) 田中魁秀九段(1つ目の降級点)
  • 29. 0勝10敗(29) 石田和雄九段(降級)

なお、今期で2年連続の休場となっていた有森浩三七段にも降級点が付き、休場前から持っていた降級点と合わせてC級2組へ降級することが決まっています。(休場は連続2期目から降級点対象)

今期開始時点で降級点を持っていたのは7名でしたが、そのうち4名(児玉・淡路・石田・有森)が降級し、残り3名(岡崎・窪田・千葉)は勝ち越して降級点を消すという非常に対照的な結果となりました。