「600円」という数字の意味

将棋ファンがどのようにお金を使うかというのは興味深い話題です。私の場合は、えーと、詰将棋パラダイスを定期購読しているほかに将棋世界週刊将棋を頻繁に購入するのと、近代将棋NHK将棋講座テキストをときどき購入するのとを合わせてざっと年間3万円くらい?と、単行本が古本も含めて2万円くらい?。それ以外の支出はほとんどないので、年間5万円くらいでしょうか。って、思ったより多かったです。

少し話がそれるのですが、注目したいのはこれとは別のことです。この600円という数字ですが、上のリンク先の言葉を借りれば「トリック」があるわけです。統計的に言えば、費用の分布が「ほとんどが0円の中に少数の比較的大きな金額を使っている人がいる」というばらつきの大きなものになっていることにより、誤差が大きくなりがちであることに注意が必要です。手元にちゃんとした資料がないのですが、レジャー白書のデータによると消費金額はおおむね横ばいだったのですが、実は1999年に突然数字が3倍になったことがあります。これはこの年に特殊な出来事があったのではなく、調査対象の中に将棋関係で大きな支出のあった人がたまたまいたのでしょう。このように誤差の大きなデータを取り扱う際には、その数字にそのもの注目してもあまり意味はありません。他のレジャーと比較して小さな金額しか使われていないというような傾向を読む程度にとどめておくべきでしょう。

もう一つ注意すべきことはこの「費用」とされるものの定義です。「年間平均費用」の定義は「ある余暇活動をおこなった人の1人当たり年間活動費用の平均」とされているだけで、どこからどこまでが費用に含まれるのかははっきり書かれていません。おそらくそれは質問紙上でも同じで、解釈は各回答者に委ねられているのだと思います。ここで費用は2つの項目に分けられており、一つは「用具等」、もう一つは「会費等」となっています。将棋の場合、前者の典型は盤駒、後者の典型は将棋道場で払うお金と思われます。そうすると、雑誌・書籍の購入費用はどちらにも含まれないのでデータに表れていないという可能性も否定できません。つまり、将棋の「活動」を行う際に直接使われるな出費ではないということです。

このあたりのデータの解釈は「レジャー白書」をちゃんと読んではっきりさせる必要があると思っていますが、今のところちゃんと手を付けていません。