中継での負担の質

将棋のウェブ中継でサーバの負担がという話をよく聞くわけですが、実際のところどのあたりがボトルネックになっているのかは外から見ているとよくわかりません。

2005年3月11日付の日経産業新聞の記事によると、名人戦中継について次のようにあります。

無料中継には品質の問題もあった。名人戦は〇三年春まで約十年間にわたり無料中継していたが、投了直後には十万〜二十万人の利用者が殺到。配信サーバーの処理能力や回線容量が追いつかずほとんどの人が中継を見られない状態が続いた。無料サービスゆえに、ピークに合わせた十分な設備投資はできなかった。

「そんなにもうけたいか」「将棋の普及に水を差す」――。月額五百円の有料化に踏み切った時、ネット掲示板の将棋関連コーナーには同社を批判する書き込みが相次いだ。この年の有料中継の利用者は、無料時代の百分の一程度となる約千人にとどまった。

もちろん手をこまぬいていたわけではない。有料化にあたっては、毎日新聞社グループでネット中継用設備を管理する東京データネットワーク(東京・千代田)のサーバーや通信回線を増強、利用が殺到しても中継が続けられる体制を整えた。「お金を取る以上、利用者に迷惑はかけられない」(技術管理部の河野亮氏)

大量のアクセスが殺到したときにその負荷にどう対処するかという部分には特有のノウハウがあり、それを駆使するかしないかで費用がだいぶかわってくるという話を聞きます。費用をかけすぎればそれが利用料金に跳ね返ってくるわけで、技術面での蓄積はそのような重要性を持っていると言えます。将棋中継ではどの程度の技術が使われているのでしょう。

将棋対局の中継の特徴として、有利な点としては次のようなことが挙げられます。

  • 棋譜の配信はデータ量が少なくてすむ。
  • 対局終盤のピーク時を除けばアクセスが殺到することはほぼ考えられず、いつアクセスが増えるかも数時間の誤差で予測可能。

アクセス殺到といっても実際にアクセスしようとしている人の人数はそれほど多くないのではないかと思います。見ている人は一度つながらなくなると習慣的に再読込を繰り返してしまい、それがかえって混雑度を増すという悪循環をどう脱するか。それが快適な環境を保つ鍵だということです。例えば同一の接続元からの一定時間内のアクセスをサーバの側で制限するような仕組みを作り、そういう仕組みになっているということを十分知らしめられれば、そういった再読込による悪循環をある程度抑止できるのではないかと思うのですが、実際にどういう状況なのかわからないので有効ではないかもしれません。