名人戦契約問題についていろいろ(19)

日本将棋連盟米長邦雄会長は、12日の定例会見で名人戦の主催者移管問題に触れ、「(毎日と朝日新聞社名人戦)共催案を提示したが、共催にしろ、単独にしろ、(現在主催している)毎日新聞社との契約を第一に考えていることに変わりはない」という立場を再度強調した。

しかし、毎日との契約を継続する条件については明らかにしなかった。

日本将棋連盟米長邦雄会長は12日、名人戦の主催問題に触れ、「ある条件が整えば毎日新聞社との交渉を第一に考える」と語った。「ある条件」については明らかにしなかった。

毎日が第一という言葉が出てきましたが、「ある条件」の解釈によってどうとでもなりますので、将棋で言えば含みを持たせた手ということになるのでしょうか。米長邦雄永世棋聖は日頃から発言に含みを持たせるのが好き、というよりもそうでない発言の方が少ないくらいだと感じます。今回の発言は、産経新聞が書いているように、契約金の一定額の値上げがあればと解釈するのが自然と思いますが、「朝日新聞社が怒り心頭に発する」ようにならないことが担保できればという可能性も考えられます。いずれにしろ後日事情が変わればいくらでも別の解釈にできるのですから、結局現状に変化はないということでしょう。

会見で米長会長は「名人戦の主催は共催か、毎日になる」との見通しを示し、そのうえで「(継続するかどうかは)毎日と連盟の両者の話し合いで決まる」と述べた。

朝日単独開催の見通しについては「違う新聞社とやると決まっているのではなく、違う新聞社からはある一定の条件が出てきたということ」と、朝日が提示した契約金額についての受け止め方を明らかにし、これまでの発言を後退させた。

そのうえで、「ある条件が整えば毎日と契約したい」と、契約料アップを示唆。あくまでも毎日を念頭に入れていることを強調した。

ところで、米長永世棋聖はここでも「話し合い」という言葉を使っています。よくわからないのは、「日本将棋連盟毎日新聞社の間で交渉は行われていない」という毎日の主張を認めているのかどうかです。5月2日付で日本将棋連盟では「契約書に則って毎日新聞社と交渉中」と書いていたのですが、毎日新聞社は通知書が撤回されない限り交渉できないという姿勢を一貫して保っています。一般的に交渉は片方が拒否していれば不可能であるはずで、その意味で「交渉中」でないことは確かです。「話し合い」が「交渉」とは別のものを指すという解釈も不可能ではありませんが、そうであるなら「交渉の前段階としての話し合い」とか何か言い方を工夫すべきだと思います。

なお、今回は朝日新聞からまだ記事が出ていないのですが、産経新聞によると次のように書かれているので出ないままになりそうです。

会長発言を受けて毎日新聞社社長室広報担当は「一方的な契約解消を通告してきた通知書の取り消しを求めており、通知書が撤回されれば話し合う用意があるという姿勢は変わらない」。朝日新聞社広報部は「今回の発言に対するコメントは発表しない」と話した。

今回の発言は朝日新聞社から見ればいい気はしないでしょうけども、実質的に状況が変わっていないので積極的に何かを言い出すメリットもないということだと思いました。

話は変わりますが、さわやか日記5月12日(金)18時18分36秒で「まずは弁護士の事務所へ。相談は懲戒処分案と契約についてです。」という記述がありました。名人戦契約について弁護士に相談しないわけがないので(見ていると本当に相談しているか不安になりますが)、この記述は「懲戒処分案」という言葉を出すために書いているのだろうと思います。名人戦とは関係ないものかもしれませんし、何のことか不明ですが、気になります。