プロ棋士対将棋ソフトの対局を11月に実施へ

脳の研究会が発足でお伝えした「Shogi・Super-Brain研究会」運営委員会の第1回会合が29日に行われました。

なお、運営委員会は以下のようなメンバーとなっています。

座長
伊藤 正男(理化学研究所脳科学総合研究センター 特別顧問)
運営委員
米長 邦雄(日本将棋連盟 会長)
松井 義雄(読売新聞東京本社 代表取締役会長)
君和田正夫テレビ朝日 代表取締役社長)
大熊 健司(理化学研究所 理事)
松原 仁(公立はこだて未来大学システム情報科学部教授)
谷岡 一郎(大阪商業大学 学長)

脳に直接関わる実験は理化学研究所で行われるのでしょうね。メンバーの中で意外だったのはテレビ朝日社長の君和田正夫氏です。テレビ朝日は現在将棋関係のスポンサーにはなっていないはずで、過去に密接な関わりがあったということもないと思います。この実験の模様をテレビ朝日の番組にするということなんでしょうか。テレビになるとしたらNHKだろうと思っていました。

将棋のプロ棋士が着手を決定するプロセスの測定は、脳科学分野における興味ある研究課題である。特に高段者の思考過程を究明することは、人工知能の完成に向けて大いなる手掛かりを与える可能性がある。この点において将棋連盟は脳の研究グループに対し、実験材料となるプレイヤーの協力を基本的に了承し、今回の研究会発足となった次第である。ここにおいて我々は、より具体的、短期的な目的として、将棋棋士の思考過程を媒介とする脳の働きを可能な限り解明し、各分野への応用を試行してみたいと考えている。

2月12日に囲碁と脳の関係で紹介した実験は子どもを対象にしたもので、子どもの学習や老人の認知症の改善に役立つかどうかなどが目的として注目されていました。それと比べると、こちらは高段者を対象とし、人工知能の開発に役立てることなどを目的とするという点で違いが見られます。脳に関することで言えば、前者は脳の前頭前野の活動に注目していましたが、後者では前頭前野にとどまらず全体的な活動を測定するものと思われます。

会合では、11月にもプロ棋士をコンピューターの将棋ソフトと対戦させ、対局中の棋士の脳活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で測定することなどが話し合われた。米長邦雄同連盟会長とともに研究会の座長を務める伊藤正男理化学研究所脳科学総合研究センター特別顧問は「プロ棋士の高度な思考過程は、人間の脳の働きを解き明かす上で有意義な手掛かりになる」と期待を寄せた。

脳の全体的な活動を精密に測定するのにfMRIは適していますが、そのかわりに被験者が横にならなければならないので、対局はやりにくいかもしれません。まあ、それよりも測定結果をどう解釈するのかの方が難しそうですが。

ところで、毎日新聞の見出しで「将棋脳研究会」と書かれているのですが、「Shogi・Super-Brain研究会」の略称がこれでいいのでしょうか。「Super-」の意味合いが私にはよくわからないので、どう呼んでいいのか悩みます。