名人戦契約問題についていろいろ(55)

11月1日、毎日新聞社朝日新聞社が共催で合意に達しました。日本将棋連盟を交えた話し合いはこれから開始され、契約金額などはその交渉で決められることとなります。また、「朝日が主催している朝日オープン将棋選手権、毎日がスポーツニッポン新聞社と共催している王将戦については、継続・廃止も含めて同連盟と個別に交渉する」とのことです。

合意内容は(1)契約金は両社が折半し、共同で連盟と交渉(2)両社は対等な立場で「実行委員会」を組織し、連盟とともに名人戦の運営に当たる(3)取材は両社が自由に行い、棋譜や観戦記、新聞やウェブサイトへの掲載は両社平等を原則とする−−の3点。また王将戦については毎日新聞社が、朝日オープン選手権については朝日新聞社が個別に連盟と協議する。

1つ目については、朝日と毎日の合同で交渉力が増したことがどう影響するかですね。2つ目・3つ目では「対等」とか「平等」とかいうことばが並んでいますが、実際には非常に難しいと思われます。何かあるたびに逐一両社で話し合いを持って落としどころを探るというような面倒なことになりそうな気がします。とりあえず気になるのは、同じ棋譜が両方の新聞に載ることになるのか、それとも両社が棋譜を分け合って重複を避けるようにするのかです。それも今後の話し合いで決めていくのでしょう。

この決定に対して日本将棋連盟側が出したコメントが毎日・朝日両社の反発を招いています。

これに対し連盟は「両社が合意されましたことを歓迎します。先日、連盟より提示しました契約金ほか総額についても、おおむね了承されたことに感謝しております」との談話を発表した。しかし、本社は「連盟とは正式な協議に入っておらず、金額について了承したこともない」と談話の内容を否定した。

将棋連盟はこの日、「両社が合意されましたことを歓迎します。先日、日本将棋連盟より提示しました契約金ほか総額についても、おおむね了承されたことに感謝しております」とコメントを出した。朝日、毎日両新聞社は「日本将棋連盟とはまだ正式な協議に入っておらず、金額について正式な提案も受けていません。今後、話し合います」としている。

他社の報道によれば、このコメントを出したのは日本将棋連盟専務理事の西村一義九段となっています。何がどう行き違ったのでしょうね。

ところで話は変わりますけれども、Takodori's Self-brainstorming How to Promote Shogi Globally: ”定跡破り 名人戦争奪「仁義無き戦い」”がネット公開されつつあるで知ったのですが、「フィナンシャルジャパン」11月号に掲載された田中寅彦九段と二宮清純氏の対談が二宮清純「BIZ-SPORTS」で連載中です。

この対談は9月27日に名人戦契約問題についていろいろ(53)で一部を引用しながら取り上げました。現在はまだ途中までしか掲載されていませんが、全文がネット上で読めるようになればより多くの方にこの対談の内容が伝わることでしょう。

11月2日追加:

日本将棋連盟の文書は「広報担当理事 西村一義」名義になっています。広報担当理事がいつの間にかできたんですね。