三段リーグ編入試験 今泉健司氏がまず2勝

2月3日に関西将棋会館で行われた奨励会三段リーグ編入試験で今泉健司氏が吉田正和二段、森下裕也二段を相手に2連勝を挙げ、順調なスタートを切りました。ただ、この件に関しては現在日本将棋連盟公式サイトでも結果が更新されておらず、瀬川晶司四段のときの盛り上がりに比べてずいぶん違いがあります。

2006年12月28日の今泉氏と秋山氏が三段リーグ編入に挑戦でもお伝えしたとおり、この三段リーグ編入試験には現在今泉健司氏と秋山太郎氏が挑戦中です。二段扱いで奨励会例会に参加し、通算4日間で8局を戦って6勝できれば合格となり、三段リーグに4回挑戦する権利が得られます。1月29日発売の週刊将棋1月31日号では「奨励会編入試験に挑戦する元奨2人の男」と題する特集が組まれています。この記事によると、関東での受験が2月12・24日と3月10・24日、関西が2月3・24日と3月3・28日となっています。

2名の受験者はともに元奨励会三段。それぞれに強い思いがあり、退会した後はアマチュア大会で将棋を指してきました。記事の中で今泉氏は次のように話しています。

奨励会を辞めてからはアルバイトをしながら、通信制の高校に入り、それから秋山さんの紹介で同系列の会社に就職しました。就職期間は約4年です。去年の8月、編入試験を受けるつもりでその会社も辞めた。当時はまだ制度もはっきり決まっていなくて無謀ともいえる決断だったけど、その後アマ棋戦に優勝して受験資格もできた。幸運だったと思います。

もちろん、これからが大変なのは分かっています。編入試験も受かるかどうかは五分五分でしょう。三段リーグも厳しいと思うが、今は編入試験のことで頭がいっぱいです。

今泉氏とは異なり秋山氏は既婚者で、会社勤めを続けながら今回の試験に挑みます。

奨励会を26歳辞めてから31歳までは将棋を指しませんでした。迷っていたけど、決断がつかなかった。ある時、会社の社長に『大会に出て見ろ』と言われて、それがきっかけになった。

それでも、編入試験に関しては自信があります。受かると思っている。だが、三段リーグに関しては自信があるとは言えない。サラリーマンをしながらでは大変でしょう。でも、挑戦するだけはしてみたい。

どちらも一度はあきらめたプロへの道を目指せるとなってそれに賭けてきたわけです。プロになるためには編入試験に合格した上で三段リーグを突破しなければなりません。より厳しいのはもちろん三段リーグです。この試験について、記事中で関係者など様々な人のコメントが掲載されていますが、編入試験合格はともかく三段リーグ突破は厳しいという予想が一様にされています。また、現在のアマトップクラスの実力を持つ加藤幸男氏と遠藤正樹氏はどちらも自信が受験することに関しては否定的です。

三段リーグではなく今回の編入試験に特有なのは香落ちの存在が指摘されています。この編入試験で受験者は奨励会二段扱いで対局することになりますので、初段と対局する場合は振り駒で受験者後手の平手か、受験者上手の香落ちのどちらかになります。香落ちは奨励会以外では指される機会が少ないため、奨励会員の強みが生かされやすい場となっています。特に関西では二段が現在2名しかいないので、香落ち対策が重要になると予測されています。

言うまでもなく、奨励会員も新たな敵を増やさないように全力で勝ちに来るわけです。奨励会員にとってこの試験対局が例会の成績に算入されるのかどうかまだよくわかりませんが、おそらく算入されるような感じです。ただ、試験を受ける人が弱くても強くても不公平が生じるので釈然としないところもあるような気もします。

2月10日追加