女流棋士独立問題 「米長邦雄の家」更新

囲碁の女流について

2月22日の女流棋士独立問題 準備委員会、連盟理事会の応酬などの中で書いた囲碁の女流の話題で、追記しました。女流特別採用での棋士は報酬などで差をつけられているようです。ご指摘いただいたくろだまさんありがとうございました。

米長邦雄の家」更新(2月24日)

2月24日に米長邦雄の家が更新されました。今回更新された部分は「女流棋士会(5)」および「女流棋士会(6)」で、前者については2月23日に先行してさわやか日記で更新がありました。どうして別のところで更新するのかはよくわかりませんが。

女流棋士会(5)」は「昨日送られてきた文書」に書かれていた、女流独立の指導という部分に関連する記述です。「昨日」とはいつなのかとか、どこから送られてきたのかが書いていなかったりするわけですが、日本将棋連盟の公式文書でもその程度のあいまいさはいつものことなので慣れてしまっている自分がいます。まあ、女流棋士新法人設立準備委員会ブログ 声明のことかと想像しておきます。

で、それが誤解だという話なのですが、今ひとつ不明瞭な部分が多いと感じました。よくあることではあるので、可能性を考えてみます。

全体を読むと、2006年3月8日に「指導」があったことは事実のようです。ただ、米長邦雄永世棋聖が考えていたこととは別の方向で独立が進んでいるので、「誤解」だという主張のようです。どう考えていたかいうと、次のように書かれています。

1.独立して別団体(友好的な)とする。

  • 対局の権利は当然女流棋士が有し、契約、手合・広報等々自らが行う。
  • 普及の仕事等は普及部と話し合い、職員の仕事がダブらないようにしてゆく。
  • 経理・会計は女流が責任を持って行う。

以上です。

しかし、現実問題として収支バランスは相当額の赤字であろうと思います。理事会としては、従来かかっていた女流棋士に関連する経費分を援助したいと考えておりました。又、経済的に行き詰った時には将棋連盟へ全員戻っておいでとする。

2.将棋連盟内の疑似独立

  • 言わば企業内ベンチャーに相当するものです。
  • 1を目指して連盟内部に留まって、独立したものとして事務処理等を行う。
  • 数年経て、独立して充分成り立つ見込みがあれば正式独立。
  • 計算したところ収支バランスが赤字体質から脱し出来そうにないと判断した場合、一旦解消して、独立しないで元へ戻す。

このような独立であれば男子プロは勿論、女流棋士全員が安心してついて来てくれるものと信じます。

2通りというのは「1.独立して別団体(友好的な)とする」と「2.将棋連盟内の疑似独立」だそうです。前者は女流棋士新法人設立準備委員会が現在進めている方向性と合致するように見えます。しかし、米長永世棋聖によると現在の方向性は「指導とは全く違う」という話ですので、よくわかりません。明確にされていない部分で相違点があるのか、それとも第2案にするようにという指導だったのか。いずれにしても、現在の準備委員会の方針を否定するには論拠が不足しているように思います。「指導」と同じでないからというだけでは否定する理由にはもちろんなりませんし、女流棋士の自立という観点からはむしろ歓迎されるべきという話になりそうな気がします。

第2案は具体的に書かれていないのですが、組織形態が異なる以外は第1案と同じような感じです。その場合、独立という観点からは、どのように独立性を担保するのかが課題となりそうです。女流棋士会の権限を拡大し明文化しても、日本将棋連盟に所属している限りは最高意志決定機関である棋士総会の決議に拘束されることは避けられそうにありませんが、棋士総会の傍聴や棋士会への参加が認められることは前提として、理事会の権限のみでは女流棋士会の決議を覆せないことを明記するといったところが必要でしょうか。信頼関係があればそこまで考えなくとも良いのですが、「女流棋士会(3)」の内容を見ると理事会は女流棋士よりえらいというような発想が出てきそうですので、制度設計の段階で明文化しておくことが必要となるでしょう。「事務処理等」という言葉がそこまで意図しているのかどうかははっきりしない、というよりも私は悲観的ですが。

で、この案なら「何の問題も起こらなかったと思います」ということなのですが、第1案がだめで第2案が良いという違いがよくわかりません。日本将棋連盟にしても女流棋士にしても、しなければならないことはどちらでも大して変わらないように思います。

ところで「当初考えていた」ということなのですが、考えていたとしか書かれておらず、それが実際に提案・検討されたとは書かれていないのが気がかりです。準備委員会の方針は2006年11月末の段階で報道されていましたので、少なくともその時点では日本将棋連盟理事会は知っていたはずです。しかし、上の第2案は今回初めて公にされました。今言い出しただけだとしたら遅すぎるというだけになってしまいますが、協議の中ではどの程度の言及があったのか気になるところです。

この「指導」があった翌日と、女流棋士会臨時総会があった2006年4月14日のごきげん・DE・ブログを読んでみましたが、実際の言い方はどんなだったのだろうかと感じました。

次に「女流棋士会(6)」について。

私の悩みは全て解消しました。
女流はひとつになって行動して欲しいと願うだけです。別組織にゆくか連盟に残るかは各自が決めること。理事会は何も致しません。
新団体の方々の対局権利と、棋戦交渉権は棋士総会にかけて決めるのが一番と現時点で考えています。

理事会は何もしないと決めたので悩まないですむという意味でしょうか。女流棋士が一つになって行動するなら、棋士総会で投票するまでもなく結論は決まっていると思うのですが。