瀬川晶司四段がNEC所属に(再)

昨日の瀬川晶司四段がNEC所属にの続きですが、いろいろ記事が出たので改めて。(瀬川四段のブログの更新はまだなので、更新されたらリンクを追加します。)

このように企業所属棋士が誕生したこと自体は前進と言えます。具体的に何をすることになっているのかは瀬川四段のブログでのエントリで少しは語られると思いますが、朝日新聞の記事によれば広告出演もあるとのことですので、今年初めの瀬川晶司四段がNECの広告に登場のようなことがまたあるのかもしれません。

羽生善治三冠が以前公文式のCMに起用されたことを覚えている方も多いと思います。そのように企業と棋士との関わりも増やしていって棋士の収入源の多様化を進めれば、将棋界の構造も変わっていくでしょう。兼業棋士としてのフリークラスということにもつながってくると思います。

ところで、米長邦雄永世棋聖によるとこの話は14日に公表されるはずだったのですが、1日遅れで日本将棋連盟のサイトに記事が掲載されました*1

このたび瀬川晶司四段(36)がNEC(日本電気株式会社)と所属契約を締結いたしました。契約期間は2006年4月1日から2007年3月31日の1年間です。

文章の中身のなさはともかくとして、表題が本文に沿っていないのはさすがに変です。4月1日から契約期間に入っているのなら「企業所属棋士へ」ではなく「に」にすべきですし、「初の」について本文中で言及がないのも公開前に気付いてほしかったところです。

4月17日リンク追加

4月18日追記

瀬川晶司四段@将棋パイナップルで気付きました。NECのサイトも見たのですが、見落としていたようです。

契約の内容は以下の通りであります。

  1. 契約期間は2006年4月1日から2007年3月31日までの1年間。
  2. NEC所属棋士」の表記のもと、対局をはじめとしたプロ棋士としての活動を実施。
  3. NECロゴマークが表示された衣服の着用、携帯品を使用し、対局をはじめとしたプロ棋士としての活動を実施。
  4. NECグループの広告出演及び、イベントへの参加。

「であります」調が気になりますが、それはともかく、これまで報道されていたとおりで妥当な内容です。

*1:ところで、4月に入ってから日本将棋連盟からのお知らせが更新されないのが気がかりです。

名人戦契約問題についていろいろ(3)

今日もいくつかの記事が出ています。

東京新聞の記事は、具体的な数字やこれまでの歴史に触れながらこの問題を解説。さらに関係者に取材してコメントを取っています。

「現在のままでいいと思う」という中堅棋士は、個人的な見解と断ったうえで、「もし朝日に移行した場合、毎日がスポニチと共催する王将戦(契約金七千八百万円)をやめる恐れもある。金銭面だけで言えば、朝日は朝日オープン(一億三千四百八十万円)をやめるだろうし、五年後のトータルで試算すると、現状と、ほとんど変わらない」と話す。

これに対し、連盟幹部の一人は「移管の理由に連盟の赤字が挙がっているが、単なる金銭問題ではない。これは将棋界百年の計の話。このままの状態が続けば、連盟はつぶれてしまう」と危機感を募らせる。

「新聞の発行部数が多ければ当然、将棋ファンも多い。これは大前提。さらに、海外で新聞を発行している朝日なら将棋の国際化を図れるし、テレビのメディア力も違う」と強調する。

他の記事でも具体的な数字はいろいろ出ていますが、王将戦の契約金額を見たのは初めてです。「連盟幹部」の話はよくわからないのですが、間に話したことが省略されていたりするのでしょうか。「テレビのメディア力も違う」というのは何と何を比べて違うと言っているのか読みとれませんでした。

そして、この記事で唯一名前を出してコメントしているのが作家の大崎善生氏です。

背景に、連盟の苦しい財務事情があるとされているが、大崎氏は「本当の厳しい赤字ではない。例えば、棋士個人事業主だが、厚生年金に加入し、連盟が積立金の半分を負担している。国民年金にすれば一億円は浮く。機関誌の売り上げは減っているが、編集部の人事は理事会が握っているのだから、彼らも売り上げ回復のために努力する責任がある」と指摘する。

棋士個人事業主」と言い切ってしまうのはどうかと思います。それはともかく、年金を変えればたしかに1億円が節約できるのかもしれませんが、その1億円は湧いて出てくるわけではなく、棋士がこれまで給与として自分のものにしていた中から追加で支払うか、年金額を下げるかして生まれるお金です。結局は給与の減額と同じですから、棋士に払うお金を減らすと言う方が適切です。年金というのはどの部分を減らすかという案の一つに過ぎず、結局「本当の厳しい赤字ではない」とは「棋士への支払いに減額の余地がある」という主張と同じです。

私の考えを述べれば、その主張は大雑把には正しいと思います。いずれにしろ、赤字が続けばそれ以外の道はないわけですが。

西日本新聞のコラムは、この問題の経緯を紹介し、最後に「禁じ手を使ったのだろうか。」という文で締めています。この主語は日本将棋連盟のようです。判然としないところがありますが、「禁じ手」とは契約違反の行為を指しているのでしょうか。

西日本新聞王位戦の無料中継が素晴らしく充実していることで知られています。将棋の好きな人が上層部にいるのでしょうね。こういう地方新聞社ばかりだとうれしいのですが、そんなはずはなく経営の苦しい地方紙の中には将棋に払うお金を節約したいと考えるところもあるようです。毎日新聞社が仮に撤退することがあるようだと、そのような地方紙の動向が焦点になると思います。その意味で地方新聞社は隠れたキープレイヤーと言えそうです。

ところで話は変わりますが、さわやか日記4月15日(土)16時37分22秒付に次のような文がありました。

全タイトル保持者と理事との会合約1時間。皆真剣です。
ツーといえばカーという人もいます。一方的に自分の主張をする人もいる。何が一番大事なことなのか全く分っていない人もいる。

タイトル保持者とだけ会合を持つというのも珍しいですね。

12日の棋士会には羽生三冠・渡辺竜王・佐藤棋聖は出席していたようですが、名人戦対局中だった森内名人は出席できなかったのでここで初めて話をすることになったわけですね。4人のうち少なくとも2人は対立意見を述べたということなのでしょうか。あるいは「人もいる」はタイトル保持者ではなくて理事ということもあるのかもしれませんが。

PWCばか詰作品展

これまでアンチキルケばか詰作品展の中で行われていたPWCばか詰作品展が分離独立して毎月15日に開催されることになりました。たくぼんさんおつかれさまです。今回は大量の10題出題。がんばって解きます。

詰将棋解答選手権レポート

とりあえず初級戦(3手・5手)を解いてみました。ストップウォッチは使っていないので概算ですが、解答をタイプする時間を入れて13分くらいでした。プレッシャーがかかっていないと決め打ちできるのでやりやすいです。将棋世界の「あっという間の3手詰」に慣れている方なら解きやすいと思います。

一般戦は時間がかかりそうなのでまたの機会にします。作者名から言って好作揃いのはずですので、解くつもりのない方は解説を見て鑑賞してみることをおすすめします。

棋士のウェブログ

2月27日付夕刊に掲載された記事がウェブ上でも公開されました。

最近、手軽に更新できるブログが普及し、若手を中心に日記を公開する棋士が増えてきた。現在、実名で何らかのコラム立ち上げている棋士は約30人にのぼる。

数えてみるとたしかにちょうどそのくらいですね。細かいものも含めるともう少し増えるかもしれません。

神崎健二七段が「ぽぴとぴあ」の取材を受ける

神崎健二七段が「学習教材のポピーの中学生向きの会員情報誌『ぽぴとぴあ』」の取材を受けたそうです。たくさんの職業が扱われる連載に将棋棋士が出てくるということなのでしょうか。「ぽぴとぴあ」のウェブ頁にはほとんど情報がありませんでしたが、8月号に掲載予定とのことです。

酒井順吉六段が引退

12日付のこの記事で知ったのですが、酒井順吉六段が3月31日付で引退していたそうです。たしかにKANSAI-SHOGI.COMの棋士紹介では引退となっています。

私がこれに気付かなかったのは、日本将棋連盟サイトで引退が告知されていなかったためです。実際、現在も酒井六段の現役の棋士紹介ページが残っています。棋士にとって昇段も大事ですが、引退はもっと大事だと思います。引退から2週間たってもそれが反映されていないというのは、引き継ぎがうまくいっていないというだけでは済まなくなってくるのではないでしょうか。以前にも書いたとおり、公式サイトには正確かつ迅速な更新を求めます。

4月16日追記

16日に酒井順吉六段の紹介ページに「(現在参加中の棋戦終了後引退)」という文が追加されました。名無しさんからコメントいただいたように、ある日付で引退となるものの進行中の棋戦については負けるまで参加するということは過去にも例があります。そうではなく、全ての棋戦で敗退してから引退届を提出することも可能です。ただ、引退届が提出されていないのであれば引退が確約されたような書き方はしないでしょうから、やはり前者なのかなと思います。そうだとすれば、引退届が提出されたことはやはり告知するものではないでしょうか。今年1月に引退した西村一義九段のときは告知されていました。忘れていたわけではなく、お知らせに何を書くかの基準がまだ定まっていないということなのかもしれません。

ブログに付くコメント メモ

名人戦問題について書いたブログに「通りすがり」を名乗る特徴的なコメントが付いているのを何か所かで見たのでメモしておきます。

ここから下は、特徴が違う気もします。

ほかにも、もし見かけたら追加します。