棋譜の著作権について

関勝寿氏の棋譜の「著作権」についての文章に共感を覚えました。将棋界全体にとって棋譜が自由に使えた方がいいはずなので、そのためにどのような権利関係を考慮に入れなければならないのかが不明な状態は好ましくないですね。

将棋パイナップル棋譜の「著作権」についてのスレッドでの今回の議論は、その意味で非常に有益だったと思います。論点も多岐に渡ったため議論に追いつくのは大変ですが、いずれちゃんと読み直して要点をまとめることができればなあと思っています。

個人的な感想ですが、やはりどの方も考えていることは本質的にはそれほど違わないんですよね。ただ、この問題が法的に微妙な点を含むため、将棋に対するわずかな感覚の差が、結果として大きな違いを生んでいるような気がします。例えば、指し手には対局者の個性的な考えが反映されているとか、一手一手の指し手そのものは著作物ではないというのは、共通の認識になったと思います。それでは具体的な差とは何かというと、例えば、棋譜と指し手の関係があるでしょうか。

  • 一手一手の指し手を積み重ねたものが棋譜である。
  • 一手一手の指し手は棋譜を構成する部品にすぎない。

上のような二つの立場が考えられますが、前者の立場からは「著作物でないものを単純に積み重ねても著作物は得られないから、棋譜は著作物ではない。」という結論になりますし、後者の立場からは「棋譜は全体としてとらえるべきで、指し手の著作物性とは関係ない。」と主張されることになります。今のところ私は、棋譜の場合は前者の立場の方が説明しやすいように感じています。しかし、詰将棋の場合は初形が与えられた時点で全ての指し手が一意的に決まっているので、後者の立場から考えるのが自然に思えます。いずれにしても、もう少し考えを煮詰める必要がありそうです。