「ウェブログ」と「ブログ」

注意深い方はお気づきかもしれませんが、私は原則として「ブログ」という言葉よりも「ウェブログ」という言葉を好んで用いています。「ブログ」は「ウェブログ」を短縮してできた言葉ですから本来は同じ意味のはずなのですが、何となくニュアンスが異なる気がしているのです。

「ブログ」は大手新聞やNHKなどでも取り上げられ、すっかり定着した言葉になりました。しかし、一般的な使われ方としては、ある特定のツールを使ったウェブページというような意味合いで使われていることが多いように感じます。私は、もう少し広い範囲を指してその言葉を使いたいのです。

ウェブログ」を定義する試みはたいていの場合失敗に終わってきましたが、私が「ウェブログ」という言葉を使うときは『ウェブログ・ハンドブック』にある次のような文章を意識しています。

他のどんなメディアでも不可能な透明性を生み出し,ウェブログに信頼を与えているのはリンクなのだ。ウェブログによるコミュニティを生み出しているのもリンクなのだ。そして,ウェブログ――というより,いかなるオンラインのライティング――と単にウェブに場所を移しただけの旧来のメディアのライティングを区別するのも,やはりリンクなのだ。

結局のところ本質的なのはリンクであって、機能としてのトラックバックだとかコメントだとかは副次的なものに過ぎないと私は考えています。

そう考えるならば、「ウェブログ」とは書く人の姿勢であって形式的なものとは直接関係がないということになります。それは半分正しいと思いますが、あえて形式的な観点から「ウェブログ」かそうでないかを区別するときは、そのページにpermalinkがあるかどうかを判断基準にしています。つまり、過去ログの特定の部分を指すようなURLが用意されているかどうかです。例えば、さるさる日記は過去の日付を指すURLが存在するので、私の基準で言えば「ウェブログ」です。

そして、特定のツールを利用していなくても、きちんとリンクについて考えられているページであれば、私は「ウェブログ」と呼びたいと考えています。こういう考え方を他人に押しつけるつもりはありませんが、そんなことを考えているんだなとだけ捉えていただければと思います。