日本を映す鏡

My Life Between Silicon Valley and Japan梅田望夫氏のコラム。将棋ソフト「激指」、ベスト8進出はならずの件に関連して次のように書いています。

たかが将棋ソフトと言うなかれ。私はこの一連の読売新聞や日本将棋連盟の動きに、「日本のこれからの姿」がくっきりと映し出されているように思えてならないのである。「次の十年」の大変化に対して、何か手を打たざるを得ないことはわかっているけれど、組織として戸惑い続け、むろん新しいことを少しは試みるのではあるが、利害関係者に配慮し過ぎて、強いリーダーシップは誰も発揮しない。そんな日本の姿が。

むろん将棋ソフトの台頭は、プロ棋士の持つ既得権を脅かす。ひいては将棋というゲームの魅力を減ずるリスクも存在する。しかし、排除の論理だけではジリ貧になる。リスクを取ってでも「新しい変化」を歓迎し、積極的に取り込んだ上で、新しいファンも巻き込んで公開の場で試行錯誤していかなければ、将棋界の発展は難しいのである。むろん夢想に過ぎないが、たとえば二十年後に、将棋というゲームが、F1のように「マシンと人間が協力して戦う」頭脳スポーツへと転換される可能性があるとすれば、今から一歩一歩「新しい変化」の予兆と付き合っていくしかないのだ。

これから訪れる「本当の大変化」の影響を受ける日本の既存勢力すべてに、全く同じような警鐘を鳴らしておきたいと思うのである。

「この一連の動き」の一部はアマチュア竜王戦@将棋パイナップルで見ることができます。

コンピュータがアマチュア大会で人間に混じって戦うという方式は、せいぜいあと10年程度しか有効でないと思われます。であるからこそ、急がなければならないというわけです。そして、コンピュータが人間を凌駕したときに棋戦をどのような方式で行うのか。以前にも書きましたが、今から青写真を描いておく必要があるでしょう。現状だと、何もしないまま気付いたときには手遅れになっているという事態になりそうな気がしてなりません。