有名人の将棋

「有名人がやるというのは大事なことなのか?」ということなのですが、将棋を指す有名人がいるという情報は、将棋関係のイベントとか番組とかに役立つことがあるという意味で有用ということはあるかもしれません。(内村は無理でしょうけど。)

ただ、私の場合は、将棋の一般的なイメージがどのあたりにあるのかというあたりに興味があります。私もそうですが、日常的に将棋に親しんでいる人は、その距離が近すぎるがゆえにそうでない人が将棋をどう見ているのかについて正確な認識を持てずにいます。しかし、その認識こそが将棋を「普及」しようと思う人にとって最重要なものであるわけです。人気があるよと楽観的になりすぎても、どうせ暗いと思われてるしと悲観的になりすぎても、どちらも益がありません。おそらく最も実態に近いのは「将棋ビジネス」考察ノート:将棋のイメージにあるように、そもそもイメージがないというところかもしれませんが、それでもいろんなところで将棋に言及があるケースがあり、それは必然的に何らかのイメージを伴うことになります。

例えば、和的日常9月8日付によると、格闘家の須藤元気が将棋を指すという映像が試合前に流れたそうです。格闘技@将棋パイナップルによれば2年前にも同じようなことがあったそうなので、一時の思いつきではなく本当にそういうことをしているのでしょう。

ここで注意しなければならないのが、「将棋を指す」のと「『将棋を指す』と公言する」のとは同じではないということです。須藤元気の場合は、(前者かどうかは知りませんが)明らかに後者の要素があります。つまり、肉体の強さが強調されがちな格闘技の世界において、頭脳も強いというイメージを作ろうとしているのでしょう。(もしかしたら、外国人選手に対抗して「日本の伝統」的なイメージも意識している可能性もありますが、考えすぎかもしれません。)

こうした見方からすると、香取慎吾が将棋を指すという噂が正しいとして(私はその話は知りませんでした)、その話がほとんど知られていないとするなら、香取慎吾にとって将棋を指すことは自分のイメージ向上につながらないと判断しているということになります。

有名人が自分の趣味に言及する場合、多くは「そういう趣味を持っている自分」をアピールしたいのだろうと思われます。その方向性が将棋の持つイメージと合致する場合に、将棋が利用されるのではないかと考えています。

……書いた後で思いましたが、「有名人」というよりは「タレント」という方が適切でしたね。