日本将棋ネットワーク周りの事情

日本将棋ネットワーク(NSN)は赤字が出ているらしいという話は聞いたことがありますが、具体的なことはほとんど知りませんでした。これについての質問に答える形で、武者野勝巳六段が書き込みをしています。

Re: NSNは必要か? マリオ - 2005/11/18(Fri) 00:51 No.11359

今日も打ち合わせで東京に行き最終電車で帰ってきました。

だれか事情通の方が答えてくれるでではと見守っていましたが、ご指名とあって登場します。

NSNはファミコンの将棋ソフト「内藤九段の将棋」(確かこんな名前)で大ヒットを記録したセタのアイデアに当時の理事会が協力してできたネットです。 セタとしてはニンテンドー64にモデム機能を付ける商品構成で製品を売りたい。 ついては将棋連盟に受け皿のネット道場を経営して欲しいという事で、セタの夢のような道場売り上げ予測を前提に、将棋連盟が資本参加して株式会社を作りました。 しかし、マリオは
1.社団法人が特定のソフト会社とのみ結託すると他の同種の会社と敵対関係になってしまう。
2.売り上げ予測が甘すぎて事業が成功するとは思えない。
3.インターネットが主流になりつつあるのに、ニンテンドー64に事業の成功を依存するのは疑問。
などの理由により反対しました。

もっともマリオの反対などものの数ではなく合弁会社に連盟は参加し、事業は始まりました。 しかし案の定と言っては悲しい事ながら、連盟直営のネット道場は振るわず、途中でインターネットからもアクセスできるなどの工夫も加えましたが好転せず確か4億円を超える赤字を累積してしまいました。

このあたりになって中原、米長、羽生なども事業からの撤退を主張するようになり、紆余曲折はありましたが西村一義社長は辞任。 鈴木輝彦と交代しましたが、最終的に連盟が出資した株式は希望する棋士個人が買い取るという形で連盟はこの事業から撤退しました。 ということですから、現在の連盟赤字とNSNの不振とは直接の関係はありません。 ただ当初マリオが心配したように、他のネット道場事業者と将棋連盟の関係が緊密とは言えず、これらを活用しての普及推進や収益確保の面で間接的なマイナスは生じてきたかもしれませんね。

なお、鈴木七段は40代で引退して社長業に専念するなどこの事業に賭ける意気込みが凄いです。 最近は携帯電話からの道場アクセスに注力しているようです。

Re: NSNは必要か? マリオ - 2005/11/19(Sat) 00:04 No.11393

> もしかすると根拠の無い数字だけが飛び交ってるのをマリオ先生が小耳に挟んだだけかもしれませんが

将棋連盟が出資している間は毎年棋士総会で収支など事業報告が義務づけられており、その検証の結果理事が大幅に入れ替わり、連盟がこの事業から撤退したのですから「根拠のない数字」「飛び交っているのを小耳に挟んだ」とおっしゃるのは、いかがなものでしょうか。

TNさんが言われるように、株式会社における株主は有限責任ですから最悪の事態を迎えても株券が紙くずになるだけで、銀行等に連帯保証をしていない将棋連盟は直接的な危険負担はなく現在は心配ありません。 他方勅使河原さんの言われるように、共同事業者の片方が一方的に事業から撤退するのは設立経過を考えると道義的にいかがなものかという考え方は当然生じます。 そこで共同事業者に対しては、(社)日本将棋連盟ではなくプロ棋士個人が株式を引き継ぐ形で事業の継続性について担保し、連盟は名義等の無形の便宜を供与し続ける形で収束を図ったわけです。 将棋連盟がこの事業から撤退するときの細かい数字や条件等も当然承知していますが、NSNが将棋に関わる事業を継続的に行っているとはいえ、現在は独立した株式会社となり、マリオは株式に関して何の権利もないわけですから、財務に関するこれ以上の言及は差し控えます。

ただ鈴木輝彦七段は同じ歳のライバルで、しかも将棋会館の塾生として数年同じ釜の飯を食った間柄ですから、難しい事業でしょうが何とか成功して欲しいと願っていることは明言しておきます。

はじめのところで言及があるファミコンソフトは「本将棋内藤九段将棋秘伝」のようですね。第1回 コンピュータ将棋選手権に招待選手として参加しています。こういうことは少し調べればわかるのにそうしていないということは、ほかの部分も武者野六段の記憶だけで書いているのでしょう。したがって、記憶違いが含まれている可能性は否定できないことに注意する必要があります。

この内容が正しいとすると、NSNの株式の一部はプロ棋士によって保有されているということです。いつという情報が含まれていないのでどう判断すべきか難しいのですが、ほかに情報が入ったら突き合わせて考えてみたいと思います。