将棋大賞展望
4月に第33回将棋大賞が発表になります。年度末ということで少し展望しながら予想してみたいと思います。
まず、数字で決まる部門から。(参考:日本将棋連盟・プロ棋士記録のページ)
- 勝率一位賞
- 最多勝利賞
- 最多対局賞
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羽生善治三冠が62局で受賞。次点は佐藤康光棋聖で58局です。今年は星がばらけたのか、最多勝利数も最多対局数も比較的低い水準でした。
- 連勝賞
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羽生善治三冠が18連勝で受賞。しかしそのあとがくっと落ち込んだのですから勝負の流れはわからないものです。
次に、選考による部門を考えます。まとめとして今年度の主な棋士の主な戦績を記録しておきます。
- 羽生善治三冠
- 朝日オープン防衛(3-0)、名人挑戦失敗(3-4)、棋聖挑戦失敗(2-3)、王位防衛(4-3)、王座防衛(3-0)、棋王失冠(1-3)、王将防衛(4-3)、順位戦A級プレーオフ敗退
- 森内俊之二冠
- 名人防衛(4-3)、棋王奪取(3-1)、銀河戦準優勝
- 佐藤康光棋聖
- 棋聖防衛(3-2)、王位挑戦失敗(3-4)、王座挑戦失敗(0-3)、王将挑戦失敗(3-4)
- 渡辺明竜王
- 銀河戦優勝、新人王戦優勝、竜王防衛(4-0)、NHK杯準優勝、順位戦C級1組から昇級
- 谷川浩司九段
- 順位戦A級挑戦権獲得
- 藤井猛九段
- 日本シリーズ優勝、朝日オープン挑戦権獲得
- 丸山忠久九段
- NHK杯優勝
- 最優秀棋士賞
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いろいろありましたが、結局今年も羽生善治三冠かなと思います。タイトル保持数が最多ですし竜王戦を除く全タイトル戦に出場していますし。
- 殊勲賞・敢闘賞・技能賞
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使い分けがよくわからないので三賞まとめて。単に戦績だけを見ると森内・佐藤・渡辺となると思いますが、この棋士ならこのくらい活躍して当然みたいな論理で、一度最優秀棋士賞を受賞した棋士には三賞をあげないみたいな慣例があるような気がします。そうすると、森内二冠を除いて藤井九段か丸山九段を入れる感じでしょうか。渡辺・佐藤・藤井と予想しておきます。
- 新人賞
- 最優秀女流棋士賞
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今年も清水市代女流二冠で仕方ないでしょうか。二冠はやはり大きいですので。
- 女流棋士賞
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ここが難しいですね。千葉涼子女流王将は女流王将奪取にNHK杯出場、矢内理絵子女流名人は女流名人位奪取に倉敷藤花挑戦、石橋幸緒女流四段は鹿島杯・レディースオープン優勝に対男性棋士2勝。それぞれアピールポイントがあります。どう転ぶかわかりませんが、予想は矢内にしておきます。
- 升田幸三賞
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さっぱりわかりません。後手角換わり一手損はこれだけ指されている画期的新戦法ですが、昨年の受賞がなかったので今年もなさそうですし、それ以外の新戦法はちょっと思い浮かびません。今年度は少なくなりましたが、昨年候補に上った横歩取り8五飛の新山崎流でしょうか。
それがないとすると新戦法ではなく妙手の受賞ということになります。何があったでしょうか。にわかには思い出せません。ただ本音を言うと、妙手はこれとは別に賞を作ってほしいですね。升田幸三賞としては該当なしでも構いませんし、新戦法とまでいかなくとも序盤の新構想・新手としても良いと思います。妙手については将来的に谷川浩司賞と名付ける形で分離してほしいなと。