将棋倶楽部24のMMORPG化は可能か

気合いの入った考察。とても面白いと思います。

今までは新聞というアグリゲータが存在してくれたから、コスト構造を曖昧にして、さらに全国に散らばっているユーザから細かいお金を集めることが出来ていたが、新聞が崩壊したらこのアグリゲータがいなくなる。そうなる前に、はやいとこ将棋連盟は自らがアグリゲータになることを考えないといけない。

この認識は非常に重要だと思います。

要点は将棋倶楽部24MMORPG化したら?ということでしょうか。

MMORPGと言われてもわからない方はMMORPGとは - はてなダイアリーあたりをご覧下さい。ものすごくざっくばらんに言うと、ドラゴンクエストとかああいうのをオンライン上でみんな一緒にやりましょうということです(大雑把すぎですが)。みんな一緒にということでその中で競争も生じてくるわけですが、そのあたりはレベルが上がったりアイテムを集められたりできるようにたくさんの労力を投入した人が有利になったりしたりします。将棋の場合はかけた時間と実力向上の度合いが全く比例しないので、そのあたりがネックになるのかもしれません。よく名前を聞くゴルフゲームのパンヤなどはどう対処しているのでしょうね。この界隈にはタッチしていないのでよく知りません。とはいえ、こういう発想は面白いと思います。

そんなことを前提にして、より細かいところについて考えてみます。

まず、日本将棋連盟公益法人なので会社を買収というわけにはいかなくて、提携ということになるのでしょう。その上でまず障害になるのが日本将棋ネットワーク(NSN)の存在でしょう。これ自体は有料サイトですし、NSNポイントはある意味MMORPGと言えなくもありません。ただ、将棋ビジネスとしては同じ有料対戦サイトならまだしもTAISENの方が有望だと思います。

現在の将棋対戦サイトは無料が主流で、特に有段レベルでは将棋倶楽部24の存在感が圧倒的です。しかし、将棋倶楽部24久米宏氏の個人運営に近い経営形態で、収入はほぼ広告からに限られている(と思われる)ため財務基盤は万全ではありません。そうした事情から、有料サービスを立ち上げることができればそのメリットは大きいと考えられます。ただ、将棋倶楽部24は設立間もない時期に無料化宣言を行っておりそれが規模拡大に貢献したという事情を考えると、このまま有料会費制にするのは難しそうです。

一般的に、インターネット上で無料で行われていたサービスをスムーズに有料化するのは困難だといわれています。それは顧客が逃げてしまうことが最も大きな要因ですが、有料化に踏み切れない要因の一つに料金を徴収するシステムを構築することが簡単ではないことが挙げられます。その意味では、将棋倶楽部24がNSNの将棋事業を買収してしまうという選択肢は考えられると思います。

ただ、過去に将棋倶楽部24が自力で有料サービスを立ち上げようとしたことがありました。もう覚えている方は少ないかもしれませんが、24BBネット(http://www.24bb.net/)です。24bb.netドメインはまだ将棋倶楽部24がおさえていますが、サイトはずっと前から消えてしまっています。このサービスは将棋関係の番組を有料で生配信しようというもので、棋戦の大盤解説会や定跡講座などを予定していたようです。成功していれば将棋倶楽部24だけでなくネット上の将棋全体にインパクトがあったはずですが、24BBでの順位戦解説会が中止にあたりが転機だったのか、ほとんど実質的な活動のないままに休止してしまいました。あと1年か2年、登場が早かったのかなという気がしています。

そういうこともあって、将棋倶楽部24はずっと今のような形態のままで来たのですが、YouTubeなどを見ていてもベンチャーは結局買収されることが「上がり」になるしかないのかなと思ったりしています。現在の将棋倶楽部24だけで全く新しい道に乗り出すのは余力が不足しているだろう。では、誰がやるんですか?日本将棋連盟には無理そうだし私は答えを思いつきません……っていうのが一番の問題なんでしょうね。

auでやっている将棋 女流プロONLINEは多少近い感じはありますね。私は使っていないのでシステムがわからないのですが、ポイントを消費していろいろできる(というかいろんなことをするのにポイントが必要)というあたりは、ゲーム内でポイントを稼ぐ仕組みを組み合わせることができれば面白そうです。携帯ならマイクロペイメントもばっちりです。まあ、それ以外の制約が携帯は厳しいのですが。

いろいろと書いてきましたが、リンク先にあるようなシステムは面白そうです。もちろん、将棋倶楽部24で指すような人なら注文を付けたくなることはたくさんあるでしょうし、コンピュータ将棋に関しても現時点で技術的に解決されていない課題はたくさんあります。しかし、それはそれとしていろんなアイディアを出して可能性を探っていくことが一番重要だと私は考えています。