詰将棋ルールについて少しメモ

詰将棋のルールは基本的に将棋のルールを下敷きにしていますが、将棋の実戦とは異なる要素も持ち込まれています。変則ルールを取り扱うフェアリー詰将棋になるとそのバラエティはさらにとめどなく広がります。多様なルールをどのように記述すればいいのかは難しい問題ですが、一つの考え方を思いついたのでメモ書きしておきます。

将棋では各場面において合法な手と禁手の2種類が定義されます*1。しかし、詰将棋では禁手でなくても指してはいけない手が存在します。例えば、普通の詰将棋では攻方は王手をかけなければならないとされていますが、これは王手をかけない手が禁手であるという意味ではありません。

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v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ 玉 馬v飛 ・ ・ ・ ・ ・
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先手の持駒:なし

上の局面で△8二歩打に対して先手は王手で逃げられません。したがって、もし王手をかけない手が禁手であるならこの歩打は打歩詰ということになります。しかし、現在はそのようには解釈されません。

つまり、詰将棋においては3種類の手が存在するということです。

  • (A) 合法な手
  • (B) 禁手
  • (C) それ以外の手

フェアリー詰将棋のいくつかのルールはこの分類によって説明できます。例えば、駒取りを禁止するという「取禁」ルールでは、駒取りの手を(A)から(C)に移されます。それに対し、「全取禁」ルールでは駒取りの手を(A)から(B)に移します。(という理解なのですが、取禁ルールの作例が少ないので誤解しているかもしれません。)

*1:厳密に言うと「禁じられた局面」も考える必要があるのですが、話が不必要にややこしくなるため省略します。