大和証券杯に関する記事

メールで教えていただいたのですが、朝日新聞1月5日付夕刊に「ネット対局 将棋プロ公式戦にも - 相手見えず、公正さ課題」という見出しで「大和証券杯ネット将棋棋戦」の話題が出ています。ネット対局に大きな意義があるとする一方で、2006年12月30日にネット棋戦の課題でお伝えしたような懸念も指摘されています。

ただ、ネット棋戦には課題もある。

まずはパソコンを使えるか。将棋連盟は「最強戦」を前に、出場予定者にネット環境のアンケートをしたところ、パソコンを持っていない棋士がいた。環境はあっても、不慣れな操作による着手ミスや時間切れの恐れもある。通信トラブルが起きたらどうするか。「自宅の通信環境が心配なので、しばらくは将棋会館に行って指そうか」と話す棋士もいる。

さらに、不正の問題がある。ネット対局では相手が見えない。別人が指しても、仲間を集めて助言を受けても、対戦相手には分からない。将棋ソフトを使えば、「詰み」があるかどうかを調べることもできる。

通信環境については将棋会館の方が安定させやすいでしょうけれども、どこで指すかというのは本質的な問題ではないと思います。インターネットの通信は100%うまくつながるということはないわけで、いずれにしてもトラブルが生じたときにどうするかを事前に定めておかなくてはなりません。

不正の問題については、記事によると渡辺明竜王が不正がないことを確かめるために立会人の派遣を希望しているそうですが、森下卓九段は否定的なコメントをしています。私の考えでは、本気で不正をしようと意図すれば自宅ではいくらでも方法があるので、立会人がいても防止できるかどうかは疑わしいのではないかと思います。

1月7日に更新された米長邦雄の家で、米長邦雄永世棋聖は次のように書いています。

大和証券グループ協賛の棋戦は次のように決定しています。新棋戦は公式戦であることは決定しています。対局はパソコン使用であり、東西の日本将棋連盟の対局室では指しません。道場はあり得ます。自宅が原則ですが、公平性あるいは機械の故障等々を考え合わせて、教室や道場等々で指すことも大いに有り得ます。

将棋教室や将棋道場で公式戦を指すことによって集客が見込めれば一石二鳥ということなのかなと思ったのですが、その場合対局者の集中が削がれることのないようにどうやって静謐を保つのかが課題になりそうです。普段の対局でも秒読み中は対局室への出入りを最小限にするのが通常ですし、かといって教室や道場を締め切って指すのでは何だか変な感じがします。

1月17日追記

日本経済新聞1月13日付夕刊に「ネット棋戦が本格始動」という見出しの記事が出ています。囲碁で「全日本学生囲碁名人戦」という棋戦がインターネットを利用して復活したという話は初めて知りました。